福岡県議会の「民主党・県政クラブ」所属県議5人が2010年に開催した計11回の政治資金パーティーで、会場の収容人数の2-10倍ものパーティー券を支援団体の自治労福岡県本部に販売していたことが、県選管が公表した政治資金収支報告書で分かった。ほぼ全ての券を県本部が購入する「丸抱え」が大半で、識者は政治資金規正法が禁じた政治家個人に対する団体献金に当たる疑いがあるとして「出席者以外の券代は脱法献金」と指摘している。
5人は川崎俊丸氏と宮浦寛氏、小池邦弘氏、畑中茂広氏(いずれも当選2回)、原中誠志氏(同1回)。いずれも11年の県議選で自治労県本部の支援を受け、11回のパーティー券は1枚5千円で販売していた。
小池氏は昨年9-11月に同県志免町でパーティーを3回開催。定員18-24人の会議室が会場だったが、県本部は200枚ずつ計300万円分購入。券を買ったのは県本部だけだった。小池氏によると、参加者は平均20人程度で、販売枚数の約9割が不参加。小池氏は「グレーゾーンと思ったが、今後は労組丸抱えのパーティーはやめたい」と述べた。
畑中氏は同県行橋市の飲食店などで7、9、12月の3回開催。いずれも定員は約100人だったが、券は240-300人分を販売、その全てを県本部が計420万円で購入していた。300人分を販売した9月のパーティーは出席者約50人。飲食の提供もなく、支出は会場代の1万円のみで、券代150万円の大半が収入となった。畑中氏は「(団体献金と)指摘されても仕方がない」と述べた。
川崎氏は昨年12月に同県糸島市の事務所会議室で開催。収容人数約100人に対し、県本部と自治労福岡県職労が計600枚購入した。参加は約70人だった。
原中氏のパーティーは昨年12月に2回、福岡市中央区の県本部が入るビルの大会議室(最大約80人)であり、計400枚全てを県本部が購入。宮浦氏も同月、同市内の飲食店と事務所(各約100人収容)で開き、販売した248枚と222枚のうち200枚ずつを県本部が買った。
自治労県本部は取材に対し「適正に処理しているので、それ以上のことを回答することはない」と文書で答えた。
畑山敏夫・佐賀大教授(政治学)は「法の抜け道を突いた(政治家個人への)事実上の団体献金で、限りなく脱法献金に近い。もともとは選挙に金がかかるのが問題だ」と指摘する。
=2011/12/09付 西日本新聞朝刊=