ベネズエラ当局は、チャベス大統領の命令により「国際投資紛争解決センター(ICSID)」から脱退するためのプランを作成している。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認した最近の政府文書で明らかになった。
ICSIDは、米ワシントンを本拠地とする世界銀行傘下の国際投資紛争の調停・仲裁組織。ベネズエラはICSIDにおいて、400億ドル(約3兆円)を超える国有資産による補償を請求されている。
チャベス大統領はこのところ、外国政府や債権者などによる差し押さえの可能性を警戒し、海外にあるベネズエラの資産を相次いで保護する措置を取っており、ICSIDからの脱退検討もその一環とみられる。
ベネズエラ政府の文書には、その主な理由は、崩壊したリビアのカダフィ政権が管理していた政府資金数十億ドルが凍結されたことを受け、そうした国際社会による金融制裁を避けるためだとある。
駐ワシントン・ベネズエラ大使館はコメントを拒否した。また、ベネズエラ政府がICSIDでの紛争処理手続きで弁護に利用している法律事務所の弁護士もコメントを差し控えるとした。
ベネズエラ外務当局者の1人は現在はICSIDからの脱退は検討していないと述べたが、この件に関する会合が行われたことを認めた。一方、別のベネズエラ当局者は、現在当局幹部が実際に脱退を協議していると述べた。