きょうのコラム「時鐘」 2011年12月10日

 かつての人気番組「家政婦は見た」をもじった松嶋菜々子(ななこ)さん主演の「家政婦のミタ」が妙なタイトルで高視聴率をとっている

一字違いで大違い。日本語の難しさと面白さだ。以前、作家の村松友●(ともみ)さんがこんな講演をしたのを思い出す。タイトルは「私と金沢」だったが「私の金沢」にしようかと思い始め、そのうち「私が金沢」となるかもしれない、と聴衆を笑わせた

「これで政治家」「これが政治家」「これも政治家」最近はこんな比喩(ひゆ)が浮かんでくる。一川防衛相が不勉強なのか、それとも知識はあるのに、答弁能力に欠けるのか。国会に送り出した有権者としては一刀両断にできないもどかしさもあろう

菜々子さんがドラマの中で言う「承知しました」が、子どもたちに流行っているという。10年前の番組を持ち出しては今の子に笑われるが「利家とまつ」の決めぜりふ「私にお任せくださりませ」と似ていて面白い。これも持ち味というものか

「私にお任せくださりませ」と胸を張れない野田首相も苦しいところだが、自らまいた種だ。国民のみた国会は閉幕どころか波乱の幕開けだ。 ●は示ヘンに見