意外と知らない自転車“罰則”…最悪マナーを解消せよ!

2011.12.10


人通りの多い歩道を走る自転車。ルールを熟知しておかなければ罰金を取られる恐れもある【拡大】

 自転車の暴走や歩行者との接触事故が相次いでいる。警察庁は、すでに自転車の車道走行を軸とする交通対策を全国の警察本部に通達。交通事故が急増する年末を迎えて、各県警の取り締まりも本格化してきた。本来、自転車は自動車の仲間の「軽車両」で、車道通行が原則。だが、ルール違反となる歩道走行はいまだに横行し、飲酒運転には厳罰が科せられる。突然、警察官から“違反キップ”を切られないために、自転車の本来の走行ルールを改めて確認したい。

 「歩道と車道の区別がある道路では、自転車は車道通行が道交法上の原則です。自転車用の車線がない道路では車道の左端を走ります。例外的に、13歳未満の子供と70歳以上の高齢者、自転車通行可の標識がある歩道や、やむを得ない場合は歩道の通行が認められますが、歩行者の通行を妨げない速度と方法で通行する義務が生じます」

 こう解説するのは、道交法に詳しい自動車ライターの外川信太郎氏。やむを得ず歩道を通る場合も、理由なくベルを鳴らして歩行者の通行を妨げれば2万円以下の罰金となる。

 意外と知られていない罰則は、別表の通りで、傘さし運転や携帯やイヤホンなどの使用、夜間無灯火は5万円以下の罰金が科せられる。さらに、酒気帯び運転にいたっては5年以下の懲役か100万円以下の罰金という厳罰が下される。

 これまであいまいだった「自転車=軽車両」の原則を警察庁が厳格化した今秋以降、違反自転車の取り締まりは各地で本格化。横浜市の神奈川県警加賀町署では「白チャリパトロール隊」を結成し、通勤自転車が多くなる夕方の時間帯に自転車で巡回、摘発も含む指導を強化するなど、全国の主要都市で自転車への監視が強化されている。

 摘発や指導の大半は、歩道での暴走や携帯電話・ヘッドホンステレオの使用、そして信号無視。知らない人も多いが、「自転車専用」などの表記がない場所では、自転車は歩行者用ではなく、自動車用の信号機に従うことになる。信号機のない交差点で横断歩道がある場合には徐行が規則で、一時停止の標識では確実に停車することが義務づけられている。

 ただ、車道の左端には駐車中の車も多い。それを避けながら幹線道路を走行するのは危険ではないか。だが、前出の外川氏は「路駐などを避ける場合も、ルール上は右手の肘を垂直に折って後続の車両に合図して右側に進路をとり、障害を避けたら速やかに左端に戻るのが原則」と説明する。

 交差点でも、横断歩道に自転車専用レーンがない場合は、二段階右折か、自転車を押す歩行者として横断歩道を渡るべきというから、最も手軽なはずの自転車が最も面倒くさい乗り物になるのかと思う人も多そうだ。

 「サイクルパワー−自転車がもたらす快適な都市と生活」(ぎょうせい)の著書がある横島庄治・NPO環境システム研究会理事長は、「これを契機に、交通政策を考え直すべき」と話す。

 「欧州では、自転車はエコロジーな交通手段として地位が高い。たとえばオランダの車道は、自転車と自動車の共有スペースで、自転車が自動車に迫害されることはない。スウェーデンも、都心での自動車の制限速度を20−30キロに定め、車道を走る自転車を保護している。日本でも、自転車専用レーンの充実やドライバーへの啓蒙に取り組むべきでしょう」

 単純に取り締まりを強化するだけで済む話ではないようだ。

 

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