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人は夢を追いかけている限り老いない- 夕刊フジ(2011年12月9日17時00分)

【SPORTS BAR】

 「幸ちゃんが面白いライブをやるよ」。音楽関係者からメールが入ったので、先週末、東京・渋谷のライブハウスを訪ねた。『夏木マリ 小林幸子LIVE~冬になったら~』。“演歌の女王”がジーンズにジャケットでジャズを歌う。意外に渋く、しかもうまい。持ち歌『もしかして』は完全にジャジー、名曲『アンチェインド・メロディー』はスローバラードを情感たっぷりに抜群の歌唱力で歌い上げていた。

 「昔キャバレー回りしていたし、スタンダード曲って好きなの…」

 以前、都はるみさんにインタビューしたとき「60歳過ぎても小節を利かせて“アッ、アアンッ”なんて、がなってられない。年相応のサラリとしたジャジーな大人の歌なんかやってみたいワ」と。チャレンジ精神は貪欲でプロフェッショナルである。

 野球界でも今オフ、多くが“夢”を追いかける。米大リーグ挑戦である。ソフトバンク・和田毅投手(30)、川崎宗則内野手(30)、楽天・岩隈久志投手(30)はフリーエージェント(FA)で。ポスティング(入札制度)では日本ハム・ダルビッシュ有投手(25)の他、ヤクルト・青木宣親外野手(29)、西武・中島裕之内野手(29)、横浜・真田裕貴投手(27)…。

 1995年、当時近鉄の野茂英雄が先駆者となりドジャースに移籍。以来、イチロー(マリナーズ)や松井秀喜(アスレチックスをFA)と続々…。かつては夢で非現実な世界が、今は望めばかなう時代になった。

 もっとも、メジャーもリーマンショック以来、シビアになった。2006年オフの松坂大輔は、レッドソックスと入札金と年俸あわせ約1億ドル(当時のレートで約118億円)で契約した。しかし“バブル契約”はすっかり影を潜め、単純に年俸だけを考えると、日本球界のほうが“お得”。だが夢追い人たちは日本球界でしっかり蓄えて「小さい頃からの夢」に躊躇(ちゅうちょ)しない。

 それにしても…。ビッグネームぞろい。日本球界は本当に大丈夫? 先日、テレビで元楽天監督の野村克也氏と中日監督を辞したばかりの落合博満氏が“人材流出”問題を論議していた。

 野村「日本球界はこの先どうなる? もっと規制すべきだよ」

 落合「いいんですよ勝手に出ていけば…」

 野村「これだけの人材はすぐに育たんぞ」

 落合「代わりは出てくるもんです。プロは意外に人材豊富です。かえって活性化していいんじゃないかな…」

 年間プロ入りするのは70人程度、東大合格者3000人のわずか0・02%の超エリート集団。“空席”があれば、奪う力は十分にある。家貧しくして孝子出ず…ともいう。悪環境は挑戦心をあおるものである。

 人は夢を追いかけている限り老いない…というが、拙稿も何か挑戦するか…。そういえば先日、若さを保つコツとしてある著名人が「自分の歳の半分に7歳足した異性とつき合うといい…」という話をしていた。計算すると相手は36歳? ちょっとがんばるか…ン?(産経新聞特別記者・清水満)

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