「安全保障の素人」と発言した一川保夫防衛相と、マルチ商法との関係を指摘されている山岡賢次国家公安委員長兼消費者担当相に参院が9日、問責決議を突きつけた。だが、両大臣ともに辞任しないまま、国会は閉幕し、重要法案は積み残し。沖縄の人々や消費者団体から反発の声が上がった。【井本義親、青島顕】
沖縄県の仲井真弘多(ひろかず)知事は9日午後、県庁で、問責決議案可決について記者団に「どう対応されるかは総理の話でしょう」と述べ、質問を遮って足早に立ち去った。知事は午前の記者会見では、一川防衛相が今後も沖縄の基地問題に関与することに「そうでない方がいい」と語り、続投に不快感を示していた。
普天間移設問題の発端となった95年の米兵による少女暴行事件について一川防衛相が「詳細には知らない」と国会で答弁したことへの批判もやまない。普天間の移設先の名護市の市議会は9日、沖縄防衛局に対し一川防衛相の責任の明確化を求めた。大城敬人市議は「うわべだけの謝罪に沖縄はだまされない。大臣の辞任を求めたい」と述べた。
政府は辺野古への移設に向けた環境影響評価の評価書を年内に提出する構えだが、県幹部は「評価書提出までは大臣をやらせて、その後に辞めさせたいということか」と困惑気味に語る。
10日に那覇市で、政府に評価書提出断念を求める集会を開く沖縄平和運動センターの山城博治事務局長は「屈辱を受けた沖縄の怒りがいかに大きいか、政府はまだ分かっていない」といらだたしげに語った。
悪質商法の被害の相談に乗っているNPO法人「日本消費者連盟」(東京都)は問責決議のあった9日、マルチ商法に対する基本的な考え方を山岡消費者担当相に問う公開質問状を出した。「マルチ商法は新たに規制する必要性はないか」。消費者行政のトップとしての資質をただした。
38年間、マルチ商法の問題の追及を続けている「悪徳商法被害者対策委員会」(東京都渋谷区)の堺次夫会長は「マルチ商法の業界を擁護してきた山岡消費者担当相は不勉強で、消費者行政に携わるのは不適格だ。一刻も早く辞任すべきだ。そもそも野田佳彦首相の任命自体にあぜんとした」と話した。
毎日新聞 2011年12月9日 21時53分(最終更新 12月9日 23時03分)
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