更新日:2006年1月31日

バスク地方は、フランス南西部〜スペイン北部に広がる緑と水のゆたかな土地。お菓子とおいしいものが大好きなマテスク里佐さんのオーブンからは、今日も甘くて香ばしいいい匂いが立ち上っています。里佐さんがバスクで出会い・学んだお菓子やお料理、そして人々の暮らしの様子について、レシピとともにお届けします。

文=マテスク里佐
   

オレンジとチョコレートのマリアージュ、「オランジェット」

   長らくお届けして参りましたオレンジ色の画像も、今回でようやく最終回。ラストにご紹介したいのはもちろん! Orangettes「オランジェット」です。

   時間と愛情をたっぷりかけて作り上げた「オレンジの丸ごとコンフィ」ですもの、まずはその丸ごと感を存分にアピール出来るお菓子を作りたくなるのは当たり前。刻んで焼き菓子に入れ込んだりするのはもうちょっと先のお楽しみに取っておいて、最初は「コンフィが主役」なお菓子を作ってみます。


半分だけチョコレートでコーティングします。オレンジ色とチョコレート色のコントラストが際立たってキレイ。


温度管理がデリケートなチョコレートのテンパリング(※)。製菓温度計をお持ちでない方、あまり慣れていない方は、無理に挑戦するよりただ湯煎で溶かす方をおすすめします。

   クリスマスに義母や親戚のオバサマ方に配るサブプレゼントとして作りました。コレ、日本の実母およびそのまわりの女性陣にもとっても評判が良いんで、一時帰国前にもよく作ります。バター系のお菓子をしょっちゅう口にするのは気が咎めるけど、甘いものへの欲求はしっかりある。そんな女心にグッと応えてくれる一品なのですね。コーヒー、緑茶(紅茶はまあまあだけど)と相性抜群なところ、そして日持ちするところもポイントが高い理由でしょう。


オランジェット用に買いだめしてあるチョコレートボックスはパリのMORAで購入。きっちり並べて入れ、段ごとにワックスペーパーを敷いてベタベタを防ぎます。リボンを結べば立派な贈り物仕様に。

   そして何といっても、魅力的な「オレンジとチョコレート」。これは本当に素敵なマリアージュです。

●「オランジェット」作り方

オレンジの丸ごとコンフィ(くし形または輪切り)15〜20個
クーベルチュールチョコレート(ビター)200g

1.「オレンジの丸ごとコンフィ」を網に並べ、シロップを充分に切っておく。(途中裏返して)
2.テンパリング(※)したチョコレート、または湯煎で溶かしたチョコレートにコンフィの半分を浸してコーティングする。オーブンシートなどの上のおいて、そのままチョコレートを固まらせる。

※テンパリング……一度溶かしたチョコレートを冷やし固めるときに行う温度操作。カカオ脂の粒子を安定させることによって、ツヤのある口どけのよい状態に。

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「コンフィ」って何?その答えは「漬物」文化。

   「「オレンジの丸ごとコンフィ」の作り方、後半編です。

   さてその前にフランス料理用語のレクチャーを。そもそも「コンフィ」とは何か?この言葉の定義がはっきりすれば、自ずと作り方の意味もすんなり分かってもらえるのでは、と考えました。

   以下、辞書風に書き出してみると……

confit
(1) 形容詞 「漬けた」(confire「漬ける」という動詞の過去分詞)
orange confite「オレンジの(シロップ)漬け」
cerises confites「さくらんぼの(アルコール)漬け」
gesiers confits「砂肝の(脂)漬け」

(2) 名詞 「肉の脂漬け」
豚、鶏類などを煮て脂の中に漬け込んで熟成させた料理を指す
confit de canard 「鴨のコンフィ」

   意味と使い方、お分かりになっていただけたでしょうか?つまり、コンフィはざっくばらんに「漬けもの」です。果物や野菜や肉を何かに漬けたもの。何に漬けるかは、脂、砂糖、アルコール、酢など。でも日本の「野菜の塩漬け」「果物のシロップ漬け」「魚の味噌漬け」などのように「何に」漬けているかは明示されていません。「だってそんなの説明しなくたって常識で分かるでしょ!」と言うフランス人の声が聞こえてきそうな……。

   収穫した食料を長期保存させる、そして、味を濃縮熟成させる。漬けもの&コンフィ文化は東西問わず、先人の知恵の賜物です。


熱が冷めていくときに、じわりじわりと糖分が浸透します。


オレンジを取り出す→シロップを煮る→オレンジを戻す→休ませる。この作業を数日間リピートします。シロップは段々と煮詰まって、濃い飴色に変化。


繰り返しシロップを煮ることで、糖度を上げる。これが保存液の役割をしてくれます。


シロップがはちみつほどの濃度になり、どろっとオレンジにまとわりつくようになったら完成。私は地下倉庫に保存してますが、心配な方は冷蔵または冷凍保存で。

●「オレンジの丸ごとコンフィ」作り方(後半編)

1.レモン汁を加えて火にかける。ときどきかき混ぜてアクをとりながら、35〜40分ほど煮る。そのまま冷暗所で1日休ませる。
2.オレンジを取り出して、シロップだけを沸騰させる。
3.オレンジを1の中に戻して再び冷暗所で1日休ませる。
4.1〜2の作業を3〜4回繰り返す。
5.シロップごと瓶に入れて保存する。

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ジャム作りとはひとあじ違う奥深さ!「コンフィ」作り

   「オレンジの丸ごとコンフィ」の作り方を、今回と次回の2回に分けてご紹介していきます。作業はいたって単純なのですが、正直とっても時間がかかるので気の短い人には向いてないかも(一度じれったくなって短縮しようとしたら、砂糖を結晶化させてしまうという失敗をしでかしたことアリ)?

   着手してから8〜10日目あたりが仕上がりの目安。その間、鍋は独占されて他の料理には使えなくなると覚悟しておきましょう!

   あせらず、気長にゆっくりじっくり。1日1回、「どれどれ今日はどんな寝顔かな?」と子どもの寝顔を覗きにいくお父さんのような気持ちで。オレンジの表情が日に日に変化していくのを堪能することこそが成功の秘訣、そしてコンフィ作りの面白さなのです。


浸透をよくするためにオレンジの皮に穴をあけます。畳針のような太い針がおすすめ。


今回作った量はオレンジ15個分(過去最高量)! お湯にぷかぷか浮かぶオレンジがお風呂に入ってるみたいで可愛いと思った図。


出来るだけ小ぶりで、皮が薄くてつるんときめ細かいオレンジを選んでください。「輪切り」か「くし形切り」は使用目的と好みで調節。


オレンジ2.5kgに対してグラニュー糖2.2kgを使用。オレンジの重量の約90%の比率で。


一瞬ギョッとしてしまう砂糖の量ですが、ご心配なく。ジャムとは違って、これを全て消費する訳ではありません。砂糖は甘さのためというよりも、漬け込み液&保存剤としての役割。

●「オレンジの丸ごとコンフィ」作り方(前編)
(出来上がり量約1kg)

オレンジ1kg(5〜6個)
レモン汁 1個分
グラニュー糖 900g

1.オレンジはこするようにしてよく洗う。太い針を使って、オレンジの皮に等間隔に穴をあける(後の作業の浸透をよくするため)。
2.大鍋にたっぷりの湯を沸かし、オレンジを2〜3分茹でこぼす。再びたっぷりの湯の中で15分ほど茹でる。
3.ザルにあげて水けをきったオレンジを、冷水をたっぷり入れたボウルまたは鍋の中に36〜48時間ほど浸しておく(皮をやわらかくさせて砂糖を染み込ませやすくする)。
4.オレンジをザルにあげて水気を切る。10〜15分おいて、少し乾かす。
5.オレンジを1cm幅くらいの輪切り、または2〜3cm幅くらいのくし形に切る。
6.5をほうろう鍋に入れ、グラニュー糖を全部加えて火にかけ、軽く混ぜながら砂糖を溶かして沸騰させる。小さな気泡が出る程度の火加減で10分ほど煮る。
7.蓋をしてベランダなどの冷暗所で36〜48時間休ませる。
(次回後編に続きます)

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真冬の甘い保存食つくりその2
「オレンジの丸ごとコンフィ」

   前回ご紹介の「オレンジのビター・マーマレード」と同時進行で、「オレンジの丸ごとコンフィ」をつくりました。真冬の大事なお菓子行事の一つであります。

   作る作業自体が好き、そのまま食べてもお茶請けになる、お菓子やデザートに応用できる。と、3拍子揃っていて、私にとって人一倍思い入れが強いお菓子素材。よって今日から数回にわたってご紹介していきます。しばらくオレンジ色の画像が続きますが、よろしくお付き合いの程を……。

   普通のオレンジ・ピールとの違いは、皮だけでなく果実も丸ごと使うところ。皮のほろ苦さに果肉のみずみずしさもプラスされたおいしさになります。そして皮の適度な固さに実のねちねちっとした感触が合わさって、噛みごたえも二重に楽しめます。


つやつや輝くオレンジの輪切りコンフィ。お菓子などに使うときは、前もって網の上にのせて充分にシロップを切っておきます。


こちらはくし形切りのコンフィ。こういう保存食作りが好きだと自然、ガラス瓶に興味が出てくる。骨董屋で買った柄つきの古い瓶(60年代もの?)に入れると、透かし具合がいい感じに。

   日本でもオレンジや甘夏の皮でオレンジピールを作ってはいましたが、フランスのショコラティエで輪切りコンフィを目にするようになって以来、私もすっかりこの「果実丸ごと派」に転向しました。

   丸ごと派になった理由のもうひとつは、バスクという土地柄にも関係あり。お隣スペイン産のオレンジが、おいしい。そしてとんでもなく安い。バンバン使わないと損だな、というケチな発想が湧いてくるのです。


もちろんオレンジ並木道の下を歩くと、柑橘の香りが漂っていました。

   こちらは数年前に南スペイン旅行をした際の、とある街角のオレンジの街路樹。街路樹がオレンジの木だったのです、街路樹が! わたしはすっかり感動して、建造物の見学なんかそっちのけでひたすらオレンジ並木道を歩きました。当然八百屋さんでは、オレンジがびっくりしてしまう大きさのズタ袋に入れられて売られていました。

   この光景が目に焼き付いて以来、ますますオレンジのコンフィ作りが好きになったような気がします。次回、作り方をお届けします!

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真冬の甘い保存食つくりその1
「オレンジのビター・マーマレード」

   昨年も家族親戚向けのクリスマスプレゼント選び、本当に頭を悩ませました(同じ苦労をされた方もたくさんいますよね?)。もう物質的に充分満ち足りているはずの人にほとんど無理矢理に何かを見つけるって、なかなか大変です。資源の無駄だなぁ、なんていう罪悪感にも似た感情が湧いてくることもしばしば。

   しかもフランスではメイン・プレゼント(服とかバッグとかそんな類)とサブ・プレゼント(本とかちょっとした小物系)の2つを各人に用意する慣習が出来上がっていて、この「ちょっとした」ってところが意外にやっかいなのです。

   そこで今年私が出した提案は、「サブはせめて消えてなくなる食べ物にしない?」日本のお歳暮スタイルにしちゃいましょうよ、ということです。

   パリ在住の親戚の方々にはバスクの特産品の詰め合わせなどを、そして義父母には私が作った甘い保存食を用意することにしました。


ベネチアの紙屋さんで買ったお気に入りのラベル・シールを貼る。お手製の保存食には賞味期限を付けるのは難しいゆえ、せめて作った年月をお知らせしておきます。

   今回ご紹介する「オレンジのビターマーマレード」は義父用に作ったものです。朝食は必ずビスコット+ジャムという義父にとって、ジャムは欠かせない食品だし、とりわけ大のマーマレード好きなので。ふやかすために水に漬け込む時間2日間、砂糖を浸透させるために休ませる時間2日間、と出来上がりに6日間かかってしまうスローな作り方ですが、苦味も甘味もほどよく効いた味わいになります。

   とりあえず義父はとても喜んでくれた模様なので、毎年このお歳暮形式を慣習化してしまおう!と企んでます。


day1〜3。オレンジをゆでこぼす→水に浸す。


day4。 2日間水に漬けた後のオレンジは、すっかりふやけて気の抜けたゴムボールみたいな感触。


day6。家中がオレンジの香りになりました!


●「オレンジのビター・マーマレード」作り方
(出来上がり量約800g)

オレンジ……1kg(5〜6個)
レモン汁……1個分
グラニュー糖 ……700g

1.オレンジはこするようにしてよく洗う。太い針を使って、オレンジの皮に等間隔に穴をあける。(後の作業の浸透をよくするため)
2.大鍋にたっぷりの湯を沸かし、オレンジを2〜3分茹でこぼす。再びたっぷりの湯の中で15分ほど茹でる。
3.ザルにあげて水けをきったオレンジを、冷水をたっぷりはったボウルに入れて36〜48時間ほど浸しておく(皮をやわらかくさせて砂糖を染み込ませやすくする)。
4.水気を切ったオレンジを皮ごと乱切りにする。これをフードプロセッサーにかけて、皮が粗微塵になり、身と皮がどろっと一体化するまでカットする。
5.をほうろう鍋に入れ、グラニュー糖を加えて火にかける。かき混ぜながら沸騰させる。アクを取りながら、10分間煮る。
6.ボウルなどにうつしてラップをかけ、36〜48時間ほど休ませる(砂糖を浸透させるため)。
7.の1/3量〜1/2量(好みで調節)をフードプロセッサーにかけてざらっとしたピュレ状にする。残りに戻して、全体をあえる。
8.再びほうろう鍋に入れ、レモン汁を加える。火にかけて沸騰させ、20〜25分間煮る。
9.あらかじめ煮沸消毒しておいた瓶に素早く詰める。縁ぎりぎりまで詰めてフタをし、瓶をひっくり返した状態で冷ます。

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ビアリッツのホテルガイド、まずはカジュアルな2軒

   新しいカテゴリーをたてました。「バスクのアドレス帳」。主にホテルやレストラン情報、その他随時お店情報なども入れていけたら、と。こちらのブログを見てバスク旅行を考えてくださった方、たまたま予定していてこちらのブログを見つけくださった方、そしていつか行ってみよっかなという方のお役にも立てたら嬉しいです。

   なお、レストラン評価はあくまでも私の主観ベース、ホテル評価・データは2005年版の「ミシュラン・レッドガイド」「ルタール」などのフランスのガイドブック、それから日本からの知人友人方がホテルステイした際の感想などを参考にしています。

   初回の本日、まずは空の便またはTGVでパリから移動される方を想定して、フランス側バスクの玄関であるビアリッツのおすすめホテルを2軒ご紹介します。とりあえずカテゴリーを立てることが目的だったので写真はゼロですが、あしらからず、です。

   今回のピックアップのポイントは以下。
1.街の中心というロケーション(車を運転しない方にもOK)
2.こじんまりしたアットホーム感(若いカップルや女性1人旅向き)
3.清潔・快適感とリーズナブル感のバランス良し

Maitagaria
34 av.Carnot 64200 Biarritz
tel. 05.59.24.26.65 fax 05.59.24.27.37
朝食7.5ユーロ 部屋58〜76ユーロ

ビアリッツ独特の白い邸宅風建築、中庭もあります。部屋総数は17部屋の小さなホテルです。改修したてなので水回りなども機能的で清潔感あり、とのこと。ミシュランではビバンダムマークがつけられているし、その他ガイドブックでベタ誉めされている一軒です。昨年、カフェグローブの青木ご夫妻がいらした際もこちらのホテルご利用(ご好評)でした! ホテルのオーナー家族(+犬も含めて)がとても感じ良いです。

Villa Etche Gorria
21 av.du Marechal-Foch 64200 Biarritz 
tel. 05.59.24.00.74 fax 05.59.22.13.12
部屋 65〜80ユーロ

こちらは、いがらしろみさんがお泊りになっていたところ。その時ちゃっかり部屋の中も見学させてもらいましが、シンプルで女性らしい内装でした。街のど真中にありながら、別のレストランの影にひっそり建っているので、私はこの時初めて存在を知ったホテルです。アジサイで覆われた階段を上っていくと、大きなテラス(夏の朝食スペース)、そして19世紀の大きなバスク建築のお屋敷が現れます。こちらもオーナーの方がニコニコ顔のとっても感じ良い人でした。

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パリの夜のデザートは、サダハル・アオキ氏のお菓子で

   今回は、少人数の食事会の模様を。プレ大晦日の晩に、フィリップ&ジメナ夫妻(2005年9月16日のブログに登場)に招待してもらいました。

   パリ上京の度に二人の家にはお邪魔しているんですが、大抵は大人数でソファに座りながらのビュッフェ形式がほとんどです。「今回は少人数だから着席スタイルのディナーが期待できるかもー?」とひとり胸算用して出かけてみたのですが。まさにドンピシャ! いえ期待以上のエレガントなもてなしぶりは溜息ものでした。

   ひたすら感心しながら、私が頭の中の手帳にメモっておいたこと。まずはやはり美しいテーブルウェアと、セッティングですね。プレゼンテーション用のお皿、前菜・メイン・チーズ・デザート用のそれぞれのカトラリーが整えられたテーブルを見ただけで、「何が出てくるのかしらー?」と期待が高まって胸が高鳴りますから。やはりゴージャスなテーブルセッティングはおいしい料理の前座になり得るのだな、と。

   そして今回学ばせてもらったことは、「張り切って1から10まで手作りしなくてもいいのね」ってこと。お店で買えるとっておきの品とか、これぞというプロの逸品を多いに利用する。そしてその分、体力知力(?)を温存して得意料理を丁寧に作れば、おいしいし失敗もないし余裕が生まれてスマートに見えるというわけ。


前菜は粗挽き黒胡椒がたっぷりかかったフォアグラ。これを「メゾン・カイザー」のイチジクのパンと一緒に食べるおいしさと言ったら……。フォアグラは人によって許容量がだいぶ違うから、今回みたいなセルフサービス形式だと気楽です。


当日の朝「料理を変更したから、赤じゃなくって白ワインを持ってきてくれる?」とフィリップから電話が入る。メインは「スズキの香草焼き、サフラン風味のお米添え」。お味もさることながら、サーブの仕方も美しくて感動。

   彼らの今回の献立は、アペリティフから始まり、「前菜・メイン・サラダ・チーズ・デザート」という完璧なるフルコースでしたが、よくよく考えてみると手作りはメインとサラダのみ。でも、パンやチーズやお菓子がテキトーものではなくって、1個1個厳選されたものだから必然おいしいし、話題としても盛り上がるし、素晴らしいと思ったのであります。フルに作ろうと頑張ってしまってドッと疲れてしまう私と何たる違い! この余裕っぷり、ぜひ真似したいです。


登場した途端、「あーっ」と私が叫んだお菓子。ちょうど前日に雑誌で見かけた「サダハル・アオキ」のお菓子。濃厚な抹茶とチョコレートのコンビネーションは、さすがの味わいでした。

   素敵な人、ものに長けてる人を見るのってやっぱり楽しいしお勉強になります。持つべきもの、見習うべきものは「センスの良い友人」でしょう。


パリ6区、リュクサンブール公園そばのアパルトマン。東京でいったら青山表参道界隈ってところ? 「メゾンカイザー」「サダハルアオキ」その他有名店が全て徒歩圏内っていう憧れの立地条件。


彼らの家には日本食器がちょこちょことインテリアとして飾られています。日本人のお友だちからの結婚祝だったという塗りの重箱もオブジェとして。

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オルレアンで迎えた年越し&2006アニバーサリーケーキ

   一年間のうち最も慌しい時期、クリスマスからお正月にかけてのイベントが全て終了しました。身内のお祝い、親戚会、そして友人宅での集まり。たった10日間ほどのあいだに、もてなす日もてなされる日の繰り返し、ご馳走続きで胃も口も少々お疲れであります……。

   でもおいしいものを囲んで人の家に集うのってやっぱり楽しい。いろんな人のいろんな形のホスピタリティを見たり感じるたりすることも、自分への刺激になったりでとても勉強になりますし。

   今さらクリスマスの話題もナンなので、年越しの夜の模様をお届けします。夫の学生時代の仲間内で毎年行っているもので、今年はおとな10人子ども5人の賑やかな集まりになりました。


場所は、ロワール地方オルレアンの目抜き通りのアパルトマン。パリから9人、東京から2人、そして我々が集合。

   手書きのメニュー、テーブルデコレーション、子どもを喜ばせるための工夫あちこち、そしておいしい手料理。きめ細かくて温かいもてなしぶりにすっかり感動した夜でした。


せっせと肴作りに勤しむ男性2名。台所に入るのが好きかどうかは、男女の差ではなく、育った家庭環境とか食べることへの情熱レベル次第ってつくづく思う。奉仕精神のバロメーターとも言えましょう。


子どもたちが寝て、だいぶお酒もすすんできた大晦日夜。

   そしてみんなが感心した、ホストのとっておきのアイディアがあります。「子どもたちをおとなしく寝させる方法」。キャンプ用の簡易テントを別室に張りました。すると大はしゃぎで中で遊び、疲れてコテっと中で寝てくれました。こういう日、お子様ワールドを作らずに「主役はおとな」っていうフランス人のスタンス、私は結構好きです。


翌日元旦お昼に用意されていた2006アニバーサリーケーキ。「おいしいおいしい」と言っていたら、カルフールで買ってきたケーキと知らされて余計に驚く。スーパーのお菓子を見直しました。


ケーキカットのあいだ中、ジィーッと見つめ続けてケーキから離れなかったロゼンヌちゃん(2歳)。顔もしぐさもめちゃくちゃ可愛い……。


ロゼンヌちゃんのお兄ちゃん(5歳)。実はこの後、彼はしくしく泣き始めてしまった! 理由はなんと「フェーブが入ってないお菓子だから」。お正月に食べるお菓子には必ずフェーブが入っていると思って楽しみにしていたらしいのです。

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「ガレット・デ・ロワ」、バスク流な香りつけとは?

   カフェグローブ読者のみなさま、あけましておめでとうございます。ひきつづき「バスクの砂糖壷」、発信させていただきます。今年もどうぞよろしくお願いします!

   さてさて、こちらはようやくクリスマスムードが去ったところです。イブが終わると同時にがらっとお正月モードに落ち着く日本と違って、こちらは年末までクリスマスムードをずるずるとひきずります。クリスマスマーケットは年末まであるところが多いし、お菓子屋さんではクリスマスケーキが堂々と(叩き売りではなく)売られ続けます。

   ブッシュ・ド・ノエルとバトンタッチするかのように、「Galette des Rois(ガレット・デ・ロワ)」が登場し始めました。日本でもすっかり有名なお菓子ですね。クリスマスケーキは手作り派っていう家庭がまだまだあるでしょうが、ガレット・デ・ロワは買う人の方が圧倒的に多そうです。とにかくこの時期、どこのお菓子屋もパン屋もこのお菓子が山積みになります。


PAULのガレット・デ・ロワはまだ試食したことありません。こういう全国展開の店の場合、香りはやっぱりラムに統一しているのかな?と興味あり。

   私はガレット・デ・ロワが好きっていうよりも、このお菓子で溢れかえるお菓子屋、そしてそれを買い求めるためにフランス人が列をなしている様子を眺めるのが好きです。お菓子がお菓子という存在以上に、宗教、暮らし、行事に溶け込んでいるのがよーく分かって心温かくなります。

   伝統菓子なので地方によって香りつけが違ってきます。私はラム酒入りなら大歓迎なのですが、ラムばかりとは限りません。アーモンド・リキュールを入れるところも多いし、バスクのガレット・デ・ロワはPastisパスティスというアニス酒で香りつけしているものの確率高し。アニスの香りが鬼門である私にとっては、こうなると涙が出そうなほど辛いお菓子であります。

   よそのお宅に招ばれた際には失礼にならぬよう、「お腹いっぱいなので(これも本当だけど)うすーくうすーく切ってください」とお願いすることを、ようやく去年あたりから身に付けました。後で苦労するくらいなら「最初から意思表示」、大切ですね。


おみくじのように入っている陶器のフェーブ。コレクターではありませんが、気に入ったものは取っておいてあります。去年のガレットに入っていた「アヒルのおばあちゃん」です。

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バックナンバー
オレンジとチョコレートのマリアージュ、「オランジェット」 (1月31日)
「コンフィ」って何?その答えは「漬物」文化。 (1月27日)
ジャム作りとはひとあじ違う奥深さ!「コンフィ」作り (1月24日)
真冬の甘い保存食つくりその2
「オレンジの丸ごとコンフィ」
(1月20日)
真冬の甘い保存食つくりその1
「オレンジのビター・マーマレード」
(1月17日)
ビアリッツのホテルガイド、まずはカジュアルな2軒 (1月13日)
パリの夜のデザートは、サダハル・アオキ氏のお菓子で (1月10日)
オルレアンで迎えた年越し&2006アニバーサリーケーキ (1月06日)
「ガレット・デ・ロワ」、バスク流な香りつけとは? (1月03日)


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