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国交のない北朝鮮映画の著作権、日本国内で保護義務なし、最高裁
訴訟】発信:2011/12/09(金)  

  北朝鮮の映画を無断でニュース番組に使用され著作権を侵害されたとして、同映画の著作権を管理する「カナリオ企画」などが日本テレビとフジテレビを提訴していた訴訟の上告審で、最高裁第一小法廷は12月8日、一審、二審と同様、「国家として承認していない北朝鮮の著作物の保護義務はない」として、原告側の請求をすべて棄却した。

  この訴訟は、北朝鮮文化省傘下の行政機関「朝鮮映画輸出入社」と、その日本での著作権管理を委任された「カナリオ企画」が、テレビ会社を提訴していたもので、原告側は、「北朝鮮もベルヌ条約に加盟しており、日本でも北朝鮮著作物の保護義務がある」と主張して、放映差止めと損害賠償を求めていた。

  しかし、一審の東京地裁、二審の知財高裁ともに、「日本は北朝鮮を国家として承認しておらず、条約による北朝鮮著作物の保護義務は負わない」として、原告側の著作権侵害に対する請求を棄却する判決を下していた。ただし、一審判決は、原告側請求を全て棄却したが、二審の知財高裁判決は、北朝鮮映画の経済的価値から民法上の保護はあるとし、「無断放映は社会的相当性を欠き、不法行為と認められる」として、各社、各12万円の損害賠償を命じていた。

  第一小法廷の桜井龍子裁判長は、「日本が加盟している条約に未承認国が後から加盟した場合、未承認国との間で権利義務が生じるかは選択できる」として、日本が北朝鮮に条約の効力が及ぶと告示していないことや、外務省や文部科学省が「条約で、北朝鮮国民の著作権の保護義務を負うものではない」との見解を示していることなどから、「著作物としての保護義務はない」として、不法行為も認めず、原告側の請求をすべて棄却した。



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