特許紛争:iPhone4Sの販売差し止め申請、仏で棄却

サムスンの特許紛争、不透明に

 フランス・パリ地裁は8日、サムスン電子がアップルの新型スマートフォン「iPhone4S」の販売差し止めを求めた仮処分申請を棄却した。iPhone4Sがサムスンの通信関連特許を侵害していることは認めたが、サムスン側が販売差し止めを主張する理由はないとの判断だ。

 このため、サムスンがイタリア、オーストラリア、日本で起こした訴訟案件の見通しも不透明となった。今回の申請棄却により、サムスンとアップルが米国、ドイツ、韓国など10カ国で展開している訴訟案件約30件のうち、サムスンの「戦績」は2勝5敗と大きく負け越したことになる。

 パリ地裁は「アップルがiPhone4Sを販売したとしても、サムスン電子が取り戻せないほどの被害を受けるわけではないため、販売を差し止める差し迫った理由は認められない」と指摘した。

 パリ地裁は、アップルによるFRAND特許の主張を認めた。FRANDとは、業界標準となっている特許を他社が「公正合理的かつ非差別的」な条件で使用できる権利を指す。この場合、先に製品を生産、販売した上で、後から特許使用料を支払えばよい。オランダの裁判所も今年10月、アップルのFRAND特許に関する主張を認め、サムスンがアップルのiPad、iPhoneの販売差し止めを求めた仮処分申請を棄却した。

 サムスン電子関係者は「決定内容を不服とし、抗告または正式な訴訟提起を検討している」とコメントした。

 9日にはオーストラリアの連邦最高裁で、アップルがサムスンのタブレット型パソコン「ギャラクシー10.1」の販売差し止めを求めた仮処分申請の上訴審が開かれる。問題の仮処分申請は一審がアップルの勝訴、二審が一審の決定を取り消すサムスンの勝訴だった。13日には東京地裁、16日にはイタリア・ミラノの裁判所でも、サムスンがiPhone4Sの販売差し止めを求めている仮処分申請の審理が予定されている。

金熙燮(キム・ヒソプ)記者
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