事件【産経抄】12月9日2011.12.9 03:28

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【産経抄】
12月9日

2011.12.9 03:28 産経抄

 「あいつは、男の曲がり角を曲がりそこねてしまった」。かつて売れっ子の映画監督が、愛人宅で自殺するというスキャンダルがあった。その報を聞いて、生前親しかった俳優がもらしたコメントが、記憶に残っている。

 ▼家庭用品メーカーのライオンが平成19年に行った意識調査では、ビジネスマンが感じる「男の曲がり角」の平均年齢は、34・7歳という結果だった。九州看護福祉大学の女子柔道部の部員を泥酔させ乱暴したとして、警視庁に逮捕された内柴正人容疑者(33)もまた、曲がり角を曲がりそこねた一人なのだろうか。

 ▼本人は「合意の上だった」と否認しているという。それを鵜呑(うの)みにしたとしても、未成年の教え子に酒を飲ませ行為に及んだのは、指導者として許されることではない。現役時代の猛練習から生み出された勝負強さは、誰もが認めていた。アテネ、北京両五輪で柔道男子の金メダルを獲得した。その偉業をたたえる声が大きかっただけに、事件が柔道界に与える影響ははかりしれない。

 ▼「金メダルを獲得した後が、人生大事だぞ」。同じ熊本県出身で、ロサンゼルス五輪金メダリストの山下泰裕さん(54)の助言が、生かされることはなかった。指導者への曲がり角の途中で、どこかおごりの気持ちが生まれたのかもしれない。

 ▼黒澤明監督作品の『姿三四郎』のなかに、乱暴者の三四郎が師の叱責を受けて、庭の池に飛び込む有名なシーンがある。三四郎は一晩冷たい泥水に身を沈めるうちに、一輪の蓮(はす)の花の美しさから、人間としての本当の強さを説く、師の心を知る。

 ▼「強くても、柔道家とはいえない」。こう残念がる同郷の大先輩の心を、内柴容疑者は知っているのだろうか。

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