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裁判員裁判の無罪 2審が取り消し

12月8日 17時6分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

裁判員裁判で無罪が言い渡された覚醒剤の密輸事件について、東京高等裁判所は「1審は明らかに不合理だ」と指摘して無罪の判決を取り消し、メキシコ人の被告に懲役12年を言い渡しました。

この事件は、メキシコ人のマウリシオ・ガルシア・ルイス被告(35)が、去年9月、メキシコから航空貨物で送られた覚醒剤およそ6キロが入った段ボールを、日本国内で受け取ろうとした罪などに問われたものです。被告は「メキシコの犯罪組織に脅されて受け取ろうとしただけだ」と主張し、裁判員が参加して開かれた1審は、「被告が犯罪組織と共謀したとは言えない」として無罪を言い渡しました。8日の2審の判決で、東京高等裁判所の小川正持裁判長は「被告は来日の前後に、組織の関係者と連絡を取り合い、日本国内で被告に見張り役がつけられていた様子もない。被告と組織との間には暗黙の了解があったと認められ、1審の判断は明らかに不合理だ」と指摘して1審の無罪を取り消し、懲役12年を言い渡しました。裁判員裁判の無罪の判断が、プロの裁判官だけによる2審で取り消されるのは2例目です。最初の事件については、被告側が上告中で、裁判員たちの判断を2審がどこまで尊重するべきなのか、最高裁判所の判断が注目されています。判決について、被告の弁護士は「裁判員を務めた市民の判断を尊重しない不当な判決だ」と話しています。一方、東京高等検察庁の伊丹俊彦次席検事は「適正妥当な判決だと考えている」というコメントを出しました。