目次に戻る

隠し撮りについて


 ホテルwith the style内でのダンスパーティーに、深夜23時52分、立ち入り調査を行う福岡県警と、
緊張の色を隠しきれないパーティーオーガナイザーたちを、咄嗟に撮影。
1秒露光、カメラは「置き撮り」
なお、クラブやディスコでの、25時以降の深夜のダンスパーティーは、風営法上禁止されている。
(元画像を補正したもの。ガンマ値をいじって暗部を持ち上げてます。)

 

 隠し撮り云々に関しては、色々と倫理的問題や、道義的問題、そして法的な問題や政治問題などがありますが、
隠し撮りでないとまず撮影できない、そしてそれを公開することによる強い影響力がある写真は、確実に存在します。
政治の世界を動かした記録写真のいくつかは、様々な理由から隠し撮りという手法で撮られたものですし、
現在でも、様々な諜報機関や警察組織や探偵などが隠し撮りという手法を多用しています。

  ここでは撮影手法を主に取りあげます。
筆者としては、なるべく倫理的に適切な場面で使われることを期待します。


 隠し撮りの前準備、カメラの設定。

 

カメラの設定で、咄嗟に隠し撮りをする状態に迫られたときに大急ぎで絶対にやるべきことは

 これだけです。

最小限これだけやっておけば、撮影相手がこちらを注視していなければ、
堂々したノーファインダー撮影だと7割方相手に気付かれません。
特に、EX-S20がどう見てもカメラとは思えない見た目をしていることが役に立ちます。

 あと、「撮影後1分間程度は、絶対カメラと被写体側を見ない」こと。
この程度の時間カメラと被写体を意識しなければ、「薄々感づいた」相手も、大抵忘れますし
周囲の人物もある程度ごまかせます。

 時間の余裕があれば、撮影直前に感度設定を高めにして、さらに露出をアンダーに振ってシャッタースピードを稼ぐ方向で。


・現場をどこよりも詳細に掲○(無修正ver.)
 大阪市西成区、南海高架下そばで毎週日曜朝に開かれている
通称「どろぼう市」と言われている路上フリマでの光景。
業者が販売する裏ビデオ・裏DVDや免税タバコや偽ブランド商品などの他に、
路上生活者などの手によって路上に捨てられているゴミの山から回収された 「商品」が
驚きの激安価格で売られていて、プロの業者も遠方から買い付けに来る名物フリマ。
路上監視カメラが密集していたり、下手に撮影すると色々危険な場所でもあるのだが、
コッソリ撮影する人も結構多いし、あるいは住民たちの協力の下で撮影する人もいる。
大阪在住時代の私の行動拠点でもあり、思い出の色々ある場所のひとつ。

 

 ちょっとした準備が可能なときには、
LEDの発光する部分にパーマセルなど黒いテープを貼って、発光する部分を覆っておくといいでしょう。
但し、パーマセルは普通は剥がれないけど、必要なときにはすぐに剥がせるように。
それと、隠し撮りを行う際には「2枚以上のSDメモリーカード」を用意しておくと、隠し撮りがバレた際に便利です。
理由は、詳しくは後述します。

 また、撮影数分前に、内蔵メモリで「さしあたりの無い」画像を十枚程度撮っておくとより万全です。
 カメラが見つかって「撮影した・してない」で揉めた際に真っ先にすることは、
「相手に撮影した画像を(あまり動揺せずに、そしてめんどくさそうに)見せる」ことで相手を納得させることです。
但し、その際は、SDメモリーカードを少しでも抜いておいて内蔵メモリに収録されている画像を見せること。
この点、SDメモリカードの蓋がないEX-S20+速写ジャケットなら、練習次第である程度うまくやれます。
メモリの抜き差し具合は、慣れれば触感だけでなんとなくわかるはず。


 大阪の紀伊国屋書店某店、新春セールの店内で見かけた「竹内力」。
「インテリアに最適!!」らしい…。
 店内撮影は基本的に禁止されているので、こういうのを撮影するには隠し撮りが必須。
 店内は監視カメラが大量にあり、加えて私服警備員が巡回しているので、
暴力団員やヤンキーを撮るときよりも、個人的にはこういう場所の方がずっと緊張する。

 

 最悪、隠し撮りに失敗して、画像を見せる瞬間のメモリカード操作に失敗した場合、
(よほどヤバイ代物を撮影して、どうやら生きて還れない状況ではない限り)
素直に謝って、撮影した画像を「(全ファイル)消去」で全部消して(注:なるべくフォーマットはしない)、
画像を消した状態、あるいは「ファイルがありません」という表示が出たのを相手に確認してもらいましょう。
そして、速攻でSDメモリカードを別に用意したものと入れ替えて、撮影再開。
 ヤクザとか、ヤンキーとか、おじさんおばちゃん相手なら、そこで相手をおだてあげて、
今度は相手に許可をとってから、改めてそこで続きを撮り続けるぐらいの図太さと図々しさが欲しいものです。

 で、帰宅後に、その画像を消去したSDメモリーカードを「消去ファイル復元ソフト」にかけてチェックしてみます。
画像消去後に、そのSDカードで1枚も撮影していないのなら、撮影した画像のほとんどすべてがサルベージ可能なはず。
数枚程度の撮影なら、最悪、必要な部分だけが部分的にjpgファイルが残っていることもあります。

ちなみに、私がこのために使っているのは「復元」 というソフトです。
出先で、ネット環境が無い場合でも使えるように、念のためにUSBメモリの中に常備しています。
http://www.vector.co.jp/soft/win95/util/se192983.html
vector:復元(Windows95/98/Me/ユーティリティ)

 


ガンマ値をいじってます。撮影地は大阪の飛田新地(売春許容地区)。
突然このシチュエーションに遭遇して、撮影地点まで十メートルほど、撮影までの時間は5秒程度。
歩く歩幅と手元の動きを自然に、しかしタイミングを厳密にコントロールして、歩きながらノーファインダーで。
撮った瞬間、確実に「いけた」という触感があったけど、それから現場を離れるまでの1分間は気が狂いそうなほど緊張しました。

 

 カメラを被写体や周囲の人から色々と隠すための偽装は、個人的にはあまりお勧めできません。
 危険な隠し撮りがばれたときに、カメラを偽装していたことで色々と問題が生じる可能性がありますし、
例えば(例えることが出来る体験を持ってる自分が嫌なんだけど)、ヤクザを路上で撮ったとき、
つい偶然撮ってしまったと思われるのと、念入りに偽装工作したあとで撮影したのとでは、ばれたときの対応がもう全然違ってきますよ。

 ひとつ、アドバイスをすると、中途半端な偽装手法だと、かえってそれ自体が不自然で怪しまれます。
例えば、今時の「プロ」が使う小型カメラは、iPod用の耳かけイヤホンに偽装されているほどに小さく、加えて動画も撮れます。
本屋さんなどで、相手の顔もと30cmまでうんと近付けたとしても、普通はカメラだと気付かれないほどの製品です。
(まさか相手の耳元に隠しカメラのレンズがあるとは普通の人は考えもしませんからね。)


 

 隠し撮りという手法は、どうあれ、相手がある程度見える場所にカメラを物理的に置くので、
いくらしっかり準備して、念入りに注意したとしても100%成功するとは限りません。
相手が見える場所というのは、逆に言えば相手からも見える場所なんです。
(コンクリート越しのX線撮影とかいう例外はありますが…)

 特に、射程距離の短いEX-S20のようなカメラで、
数十センチ〜数メートルの距離で隠し撮りをするのは相当無謀な手法です。
一般論で言うと、まったくもってお勧めできません

 それでも、隠し撮りがどうしても必要になる、どうしても撮っておきたくなる場面・瞬間は確実にあります。
「伝家の宝刀」として、こういう手法があることは、頭の片隅にでも入れておいたほうがいいかもしれません。

「隠し撮りは、時々失敗する。ばれる可能性があるという前提を意識した上で撮る。」
「ばれた場合のために、可能な限りしっかり撮影前から準備しておく。」
「必要のない場面での隠し撮りはしない。特に性的なものの隠し撮りは絶対にしない。」
「隠し撮りにスリルやスペクタクルやロマンを求めない、リスクと成果だけを考える。」
「ばれたら謝る。そしてバレたことをきっかけにしてでも、どうしても撮りたいものだけを撮る。」

 

目次に戻る