そして、その栄光、繁栄、苦労の到達点間際であるアルノー戦線は、辛うじて均衡を保っていた。
さながら、鉄の棒の上に立てた林檎をバズーカで狙い打つような、均衡だが。
突破せんと欲す連合と、守り抜かんとする帝国。
じりじりと押しながらも連合は最後の薄絹を貫けず、
押されつつも辛うじて守り抜く帝国は、打開策に乏しく。
ただ断続的な放火を交わしつつ、砲弾で大地を耕作するのみである。
しかし、すでに帝国側は余力をやや減らし始めていた。戦線の維持が、帝国にはすでに大きな負荷であった。
さしもの戦争機械ですらも、錆び付き始めていたのだ。
だが、前線では崩壊の兆しとは程遠く、日常とかした擾乱射撃の音を時計代わりに、何時もの如く日常が刻まれていた。