あの時代を、何と表現すれば良いのだろうか。
一人の生き残りはこう評した。
かつての華やかなりし戦争から煌めきと魔法のような美が奪い取られてしまった。
将軍や、英雄が兵士たちと危険や艱難辛苦を分かち合いながら馬で戦場を駆け巡り、帝国の運命を決する。
そんな事は無くなってしまった。
今の英雄は静かで安全で物憂い事務室に居て書記官に取り囲まれて座る。
一方何千と言う兵士たちが電話や電報一つで機械の力で殺され、蹂躙されて行く。
これから先に起こる戦争は女性や子供や一般市民を殺し、戦場に引き摺り出す事になるだろう。
―――かつての、我々のように。
やがて、それぞれの国には、大規模で限界の無い、一度発動されたら制御不可能となるような破壊の為のシステムを産み出すこととなる。
これが、人類の栄光、繁栄、苦労の到達点だ。