29日のユーロ圏財務相会合では、財政悪化国の国債買い支えなどを行う欧州金融安定化基金(EFSF)の規模拡大について、目標とした1兆ユーロに届かず、危機封じ込めへの抜本策に対する期待感が薄らいだ。
「(EFSFの再拡充で)一つの数字を示すことはできない。12月、兆単位の金額を示すことはない」。財務相会合後の記者会見でEFSFのレグリング最高経営責任者(CEO)は、目標達成できないことを認めた。
この背景について、SMBC日興証券の嶋津洋樹シニアマーケットエコノミストは「世界で危機拡大への懸念が強まり、再拡充に必要な資金を新興国などから集められなかったのでは」と指摘する。
今回の会合ではEFSFを通じ(1)財政悪化国の国債を購入した投資家に、価格の下落時に元本の20~30%まで損失を補填(ほてん)(2)域外からの資金も集め、国債の買い支えや金融機関の資本増強に活用--することで合意した。
外部の投資家の負担を軽減することで多くの資金を集め、イタリアなどの国債価格を下支えする狙い。例えば、イタリア国債を100ユーロ購入した投資家に対し、国債が暴落しても20~30ユーロまではEFSFが穴埋めする。
しかし、市場では「拡充が不明確で、不十分」との指摘に加え、「補填割合も低く、これだけでは国債購入につながらない」などと再拡充の効果を疑問視する声が広がっている。
毎日新聞 2011年12月1日 東京朝刊
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