ユーロ圏首脳が第2次ギリシャ支援で合意 EFSFの機能拡充

2011年 07月 22日 14:22 JST
 
check

 [ブリュッセル 22日 ロイター] ユーロ圏17カ国の首脳は21日の首脳会議で、民間部門の参加などを盛り込んだ対ギリシャ第2次支援策で合意した。昨年5月に合意した欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)による1100億ユーロの支援に続く措置。

 今回はEUとIMFからの公的支援としての1090億ユーロ(1570億ドル)を供与。さらに、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の機能強化なども決めた。同支援策の詳細は9月に確定する見込み。

 会議後、サルコジ仏大統領はEFSFが持つ新たな機能について「欧州通貨基金の基礎を作ることで合意した」と述べるとともに、今回の支援策によりギリシャが国内総生産(GDP)の約1.5倍に膨らんだ公的債務を24%ポイント圧縮できるとの見通しを示した。また、ギリシャのパパンドレウ首相は2020年までの資金調達ニーズに対応するメドが立ったと述べた。金融市場は好感したが、支援策の効果について、中期的にギリシャの債務再編を回避するのに十分な措置かどうか疑問視する声も出ている。

<アイルランドなど3か国向け融資条件も緩和>  

 今回合意した支援策は、1)ギリシャに対し、EFSFとIMFが2014年半ばまでに1090億ユーロを融資する、2)ユーロ圏各国はギリシャ各銀行の資本を増強するため合計200億ユーロを拠出する、3)ギリシャ、アイルランド、ポルトガル3カ国向けのEFSF融資の条件を緩和する、4)圏内諸国の債務危機を回避するためEFSFとその後継機関として2013年に発足する欧州安定メカニズム(ESM)に予防的な融資権限を与える、?銀行や保険会社などの民間投資家も債券スワップなどを通じてギリシャ支援に参加する - などが柱。 首脳会議では、支援の条件である緊縮財政策の影響で疲弊したギリシャ経済を活性化させるための「マーシャルプラン」も約束したが、具体的な内容は明らかにしなかった。

 EFSFの機能拡充は、ギリシャなどの債務不履行懸念により、スペインやイタリアなど、より経済規模の大きい国まで市場にアクセスできなくなる事態を防ぐことが狙い。ECBが危機対応のため必要と判断した場合にはEFSFが流通市場で債券を購入することを認め、域内の国がクレジット市場から締め出される前にEFSFがその国に対して予防的信用枠を設定できるようになる。EFSFの機能拡充には、ユーロ圏各国の議会の承認が必要。外交筋は、第2次支援で民間が参加することになったため、ドイツやオランダ、フィンランドも承認するとみている。 

 ギリシャ、アイルランド、ポルトガル3カ国向けのEFSF融資の条件については、融資期間を7.5年から15年に延長し、現行4.5─5.8%の金利を3.5%程度に下げるなど、大幅な緩和で合意した。

 民間投資家の支援参加は、保有するギリシャ債をより長い期間で低金利の債券と交換するなどの形で実行する。ユーロ圏首脳は、民間部門の債券ロールオーバー(借り換え)や交換による寄与が370億ユーロと想定。それに加えて債券買い戻しプログラムによる寄与は126億ユーロと見込まれている。   続く...

写真

ユーロ圏の分裂を想定

一部の欧州中銀当局者は、周辺国の銀行システム崩壊が、ユーロ圏分裂のきっかけになる可能性があると指摘している。
  記事の全文 | 特集ページ 

 7月21日、ユーロ圏加盟国は首脳会議で1090億ユーロの第2次ギリシャ支援で合意。写真はアテネにあるギリシャ議会議事堂のギリシャ国旗(左)とEU旗(右)。6月撮影(2011年 ロイター/Yiorgos Karahalis)

ロイター・オンライン調査

 ハッカー集団のアノニマス
 アルカイダのビンラディン容疑者
 リビアのカダフィ大佐
 菅直人前首相
 アップルのジョブズ前CEO
 女子サッカーのなでしこJAPAN
 オリンパスのウッドフォード元社長
 パパンドレウ前ギリシャ首相
 福島第1原発の作業員
 その他
2011年 あなたが選ぶ「今年の人」