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2011-12-06

[]なんとなく微妙な感じ(?)もする日米ASDイベント(その1)

12月3日から9日は障害者基本法第9条に規定された「障害者週間」です *1。この障害者週間に合わせて全国でさまざまなイベントなどが催されているようですが、その一つということなのかどうなのか、12月1日から3日間にわたって、日米自閉症スペクトラム研究会議、及び啓発イベント「Get in Touch!」が東京赤坂の日本財団ビルで催されました。

最初にお断りしておきますがこのようなイベントが催されることはたいへん意義深いことだと思います(以降はくれぐれもそのことを踏まえたうえでお読みください)。しかし、こんなこと言っていいのかな?なんかこういまひとつ事前に十分な周知が行われていなかったような、私の場合はネット上の情報からそういうイベントがあるみたいだなと気づいたという、その程度の話でした。むしろツイッターやはてブを通じて発信側に回っていたのではないかというくらい。リアルのネットワークからは全くといっていいほど話が伝わって来ませんでした。サイトを見て妄想力(?)を働かせてみるとその理由がなんとなくですが見えてくるような・・・

■日米自閉症スペクトラム研究会議

主催 実行委員会
共催 オーテイズムスピークス 日本財団
後援 JDDネット 文科省 厚労省 国立精神・神経医療研究センター 日本小児神経学会
代表;加我牧子 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所
実行委員長;辻井正次 中京大学現代社会学部教授


つまり、日本自閉症協会が運営にまったく絡んでいないのです*2。後援のJDDネットは日本自閉症協会もその構成員ではありますが、日本自閉症協会のHP*3を見ても今回のイベントにはまったく一言も触れていません。また、JDDネットも後援しているにもかかわらず、HPのトップに一切の情宣なし*4。これはこれで妙な感じ。まぁJDDネットは寄り合い所帯ですからね。

それから、後援には日本小児神経学会があるのに自閉症医療分野の総元締め(?)であるところの日本児童青年精神医学会の名前がありません。

一方、主催は「実行委員会」で実行委員長は辻井正次先生ということで、アスペ・エルデの会のHP*5にはトップの目立つところにバナーが掲示されています。事前のセミナー申込サイトもあります*6。アスペ・エルデの会の中ではそれなりに情宣されていたのかも。

共催に目を向けると発達障害の支援活動にも力を入れている日本財団に加えて、世界最大の自閉症アドボカシー団体である米国のAutism Speaksが名を連ねています。

日本自閉症協会や日本児童青年精神医学会はお声掛けを受けなかったということでしょうか?それともお誘いを受けながら辞退したのでしょうか?外されたのかそれとも自ら外れたのか?なにやらオトナの世界のドロドロした複雑な関係を妄想してみたりして(冗談です)。

ひとつにはJDDネット、アスペ・エルデの会、日本小児神経学会ともに辻井正次先生と直接関係している団体ということです。JDDネットでは理事を務め、アスペ・エルデの会ではCEO兼総括ディレクター、日本小児神経学会では評議員を務めています*7。そしてアスペ・エルデの会やJDDネットを通じてAutism Speaksの幹部(例えばVice President of Scientific Affairs のAndy Shih, Ph.D.)ともかねてより親交があるようです。今回のイベントは辻井正次先生が自ら力の及ぼせる最大範囲で行ったイベントなのかなあ、と勘ぐってみたりして。今回JDDネットは名義を貸した以上に目立つような動きが私には把握できませんでしたが。

一方、Autism Speaksでは、「日本が史上初めて自閉症のグローバル・カンファレンスを主催した」と自らのHPで述べています。妄想を膨らませると、この記事もある意味政治的な匂いがするような気も。もともとAutism Speaksは政治色の強い団体ではあります。

■Japan Hosts First Ever Global Conference on Autism - Autism Speaks

日本で自閉症団体を代表するのはどこの団体なんだろう・・・とか、アスペ・エルデの会と日本自閉症協会って仲が悪いの?・・・とか、史上初とは言うけれど自閉症カンファレンスNIPPONでは毎年ノースカロライナからTEACCHのカリスマ先生も招いているのにそれは意図的に無視してるんですか?(所詮、TEACCHとAutism Speaksとでは政治力学的な規模がまったく異なるといえばそのとおりですが)・・・・とかいろいろと楽しい(?)妄想が膨らみます。

尤も研究会議には内山登紀夫先生や井上雅彦先生など、日本を代表する自閉症研究者も参加したとのことですので、きっと真っ当な研究会議だったのだと思います。そして啓発イベント「Get in Touch!」では、日本出身のグローバル・セレブリティ、オノ・ヨーコが登場しました。次回(その2)では、この啓発イベント「Get in Touch!」に関する報道について思うところを書く予定にしております。今日の記事は冗談も交えていろいろと妄想を膨らませてみたので、ひょっとしたら不愉快になった方もいらっしゃるかもしれませんが、次回の記事はわりと素直な感想になる予定です。