ユーロ圏首脳はギリシャの債務減免で合意に達した。欧州の債務危機を食い止めるため、首脳会議は27日未明まで話し合いが続けられていた。
サルコジ仏大統領は、各国首脳らと民間銀行との長時間に及ぶ交渉の末、銀行が保有するギリシャ国債の50%を「自主的に」減免することで合意に達したと述べた。
また同大統領は、欧州金融安定基金(EFSF)を4倍から5倍に拡充することでも合意したことを明らかにした。それにより、スペインやイタリアなどの国が発行する8000億ユーロから1兆3000億ユーロの債券を保証できることになる。
首脳らは、ユーロ圏の大手銀行70行の資本バッファーを1060億ユーロ積み増す計画にも合意した。ただし、その資金の出所は明らかにされなかった。
ギリシャ国債は総額3500億ユーロのうち、民間が保有しているのが2100億ユーロだけであるため、その減免は複雑だった。国際通貨基金(IMF)など、公的な債権者が損失を受けることを拒否していることから、ギリシャの債務を劇的に削減するのは難しい。今回の合意により、ギリシャの債務は2020年までに国内総生産(GDP)の120%に減少すると予想されている。ギリシャ債務負担の削減に当たっては、EFSFからも300億ユーロの追加支援を行い、ギリシャへの公的支援は計1300億ユーロとなる。
債務危機のさらなる拡大を防ぐため、首脳らはEFSFの拡充についても合意したが、具体的には次の2つの方法を平行して行う。
まず、スペインとイタリアの国債がデフォルト(債務不履行)となった場合、EFSFは国債保有者の初期損失を補償するため間接的に資金を提供する。
また、EFSFに加えて、中国などの資金が豊富な国の出資を仰ぎ、基金を設立する。EFSFのレグリング最高経営責任者(COO)は28日に中国を訪問し、中国の関与について話し合う。フランス政府高官によると、サルコジ大統領も中国の温家宝首相と27日に電話で話し合う予定。