全漁連=全国漁業協同組合連合会の服部郁弘会長は、福島第一原子力発電所の処理済みの汚染水を貯蔵するタンクが満杯になって海に放出された場合、漁業に深刻な影響が出かねないとして、東京電力の西澤社長と会談し、海に放出しないよう抗議しました。
全漁連によりますと、東京電力は、福島第一原発の処理済みの汚染水を貯蔵するタンクが今後、満杯になった場合、処理済みの汚染水を海に放出する可能性があることを5日、伝えてきたということです。これを受けて、全漁連の服部会長は8日、東京電力の西澤社長と会談し、「原発事故によって窮地に追い込まれている漁業者の思いを重く受け止め、海への放出を計画から削除するとともに、抜本的な対策を示すことを強く求める」と述べて、処理済みの汚染水を海に放出しないよう抗議しました。これに対して、西澤社長は「必要な対策や情報提供をしっかりやっていきたい」と述べましたが、具体的な対応については明確に答えませんでした。東京電力によりますと、処理済みの汚染水を貯蔵するタンクを増設しない場合、来年3月には満杯になるということです。抗議をした全漁連の服部会長は「国の基準値以下であっても放射性物質が出れば水産物の消費は止まってしまう。東京電力は今後、絶対汚染水を海に流さないという気持ちで取り組んでほしい」と述べました。東京電力によりますと、海への放出を検討しているのは、建屋の地下にたまった汚染水を処理して、放射性物質を取り除いたあとの水です。これまでに18万トン余りを処理して原子炉の冷却に再利用していますが、必要以上の水があるため、現在は構内にタンクを設置して保管しており、このうちの9万6000トン余りが放出の対象になるということです。このままでは、タンクは来年3月上旬ころまでに満杯になるということです。東京電力の松本純一本部長代理は「タンクの増設を進めているが、将来的に限界があるので、海への放出を検討している。放射性物質については、すべてを基準以下に処理したうえで放出する計画だが、きょう、全漁連からいただいた意見を踏まえたうえで今後の取り組みを検討したい」と話しています。