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ロシア下院選:与党「惨敗」 プーチン氏、戦略再構築へ 大連立視野の可能性

 【モスクワ大前仁】4日に投開票があったロシア下院選(定数450)は、政権与党「統一ロシア」が現有の315議席から80近くを減らす「惨敗」に終わり、来年3月の大統領選に党候補として出馬するプーチン首相にとって打撃となった。プーチン氏は議席の過半数獲得に強気の姿勢を示したが、戦略の立て直しを迫られるのは必至だ。一方、メドベージェフ大統領は野党指導者に秋波を送っており、「大連立」も視野に入れ始めた可能性がある。

 「統一ロシアは国の政治的な安定の礎となってきた」とプーチン氏は5日の会議で訴えた。党の獲得議席は238にとどまる見通しだが、「(過半数の)226議席を維持しているので問題ない」と明言した。

 プーチン氏は08年の大統領選の際、ダークホースとみられていたメドベージェフ氏を早期に後継指名するなど、多くのサプライズを演出してきた。

 しかし今年の選挙戦では、大統領と首相の間で「ポスト交換案」を発表したが、逆に国民の反発を招き、手詰まり感が強まっている。

 プーチン陣営が新戦略の一つとする可能性があるのが、首相の肝いりで今年5月に発足させた超党派組織「人民戦線」を活用する案だ。

 人民戦線は退役軍人や労働組合といった幅広い勢力で構成し、今回の下院選では200人以上が統一ロシアから出馬。プーチン氏は大統領選出馬をめぐり、先月末の統一ロシア党大会で、公認候補指名を受けた。

 だが、下院選で党の不人気が顕著になったため、今後は人民戦線に軸足を移し、「国民を代表する候補」の側面を強調していく選択肢もありそうだ。

 下院選では共産党など野党3党が16~35議席を上積みする見通し。メドベージェフ氏は5日、野党指導者に向けて「統一ロシアは協力の用意がある」と述べ、議会運営での協調を改めて呼びかけた。プーチン陣営が大統領選へ向けて大連立を組むシナリオが浮上する可能性がある。

 カーネギー国際平和財団「モスクワセンター」のシェフツォワ上級研究員は、「プーチン氏には(現職首相の)特権が多く残されており、路線変更はない」と予想した。長期支配への反発が強まっていることを自覚すべきだとし、「より多くの勢力を引き込む必要がある」と指摘した。

毎日新聞 2011年12月6日 東京朝刊

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