漂流がれき 水産高校生徒も調査
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漂流がれき 水産高校生徒も調査

12月7日 16時1分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

東日本大震災で発生した大量のがれきが太平洋の広い範囲に漂流している問題で、環境省などは、太平洋で航海実習を行っている水産高校の生徒たちに目視による調査に協力してもらい、がれきがほかの国に流れ着く可能性などを詳しく調べることになりました。岩手県や青森県などの5つの水産高校が参加することがすでに決まっています。

震災による津波で流出した壊れた家屋や漁船などのがれきは、太平洋の広い範囲に漂流しているのが確認されていて、その量はおよそ300万トンに上るとみられています。環境省などは、シミュレーションや衛星写真による解析を行って、ほかの国の沿岸に流れ着く可能性などについて調査する方針ですが、漁業や海洋調査の目的で日頃から太平洋で航海実習をしている各地の水産高校が調査に協力することになりました。実習船は、なるべく燃料を使わずに潮の流れに乗って目的地に向かうことから、がれきが漂流しているルートの近くを航行する可能性が高いということです。環境省は、生徒たちに目視で漂流状況を確認してもらう方針で、岩手県や青森県などの5つの水産高校が参加することがすでに決まっています。このうち岩手県立宮古水産高校の熊谷正樹副校長は「震災で大きな被害を受けたが、将来の宮古市の漁業を担っていく生徒たちにとって、今回の調査は大変意味がある。宮古からも大量のがれきが海に流れ出ているので、精いっぱい協力したい」と話しています。

調査に協力する宮古水産高校は、震災による津波で9隻あった実習船のうち6隻が壊れたり流出したりするなどの被害を受けたため、震災後は沿岸での漁業実習や、かきやホタテの養殖の実習などができなくなっています。こうした状況のなか、学校側は、今回のがれきの調査は実習活動としても必要な海洋調査を兼ねるうえ、地元の水産業の復興の担い手を育成するにあたって、教育効果もあると判断し協力することを決めたということです。宮古水産高校が8月に行った航海実習の際は、宮古市から東におよそ1000キロ離れた太平洋上で、震災で流出したとみられる15メートルほどの小型船が転覆した状態で漂流しているのが確認できたということです。調査に参加する生徒は「自分の親は漁師でしたが、津波で船や施設などがすべて流されました。昔の宮古を取り戻すためにも少しでも役に立てるよう頑張りたいです。流されてしまった学校の船も、この調査で見つかれば、思い出の船なのでうれしいですね」と話していました。宮古水産高校は、来年1月から3月までハワイ沖で行う航海実習で、がれきの調査を始めることになっています。