北海道電力泊原発3号機へのプルサーマル導入の是非をめぐって道と地元4町村が主催して開いた2008年のシンポジウムで、同社の現地事務所が、社員に出席と賛成意見を述べるよう促すメールを送っていたことがわかった。同社が26日夜、記者会見して明らかにした。共産党が内部告発をもとに同日午前に指摘し、同社が調査していた。
シンポは住民の意見を聞くことを目的に08年10月12日に岩内町で開かれた。同社によると、メールは同月3日付で、地元対策を担当する泊事務所渉外課が泊原発内の21部署に送信。「『プルサーマル計画に関する公開シンポジウム』への参加協力について」と題したファイルが添付され、「プルサーマル計画を確実に進めるためにも、数多くの方にご参加いただき推進意見を提出していただければと思っております」と書かれていた。
社内調査で、泊原発内の各部署の関係社員約200人に聞き取りをした結果、11人がメールの現物を持っており、2人がメールを記憶していたことが確認された。同本社内でメールを把握している社員は確認されていないとしている。
道によると、参加者は岩内町の会場の様子を中継した札幌市の会場を含めて469人。両会場でのアンケートでは、プルサーマルへの理解が深まったとの回答が全体の7割に上った。開催後、計画の安全性を判断する有識者会議での検討を踏まえ、高橋はるみ知事が09年3月、計画の受け入れを正式表明している。
同社の佐藤斉広報部長は会見で「重く受け止め、おわび申し上げる。シンポにどのような影響を与えたかについて今後詳細に調査していく」と述べた。「『やらせ』ではないか」との指摘に対しては、蔵田孝仁企業行動室長が「まずは事実を確認したい」と述べるにとどめた。
九州電力玄海原発の再開にからむ「やらせ」問題を受け、国は電力各社に調査を指示。北海道電力は7月、08年に国主催で開かれたプルサーマルに関するシンポでは「やらせはなかった」と経済産業省に報告していた。道などの主催シンポについて同社は「時間が限られていたため調査していなかった」と説明している。
高橋知事は「極めて遺憾。北海道電力には、慎重かつ詳細な調査を早急に実施するよう求めたい。その状況を注視し、道として適切に対処したい」とのコメントを出した。(杉村和将、綱島洋一)