ミサイルなどに転用可能な炭素繊維材を台湾と香港に不正輸出したとして、警視庁公安部は7日、樹脂メーカー「クレファイン」(東京都中央区)と元同社管理部長(44)を外為法違反(無許可輸出)容疑で書類送検した。東京税関も同日、関税法違反(虚偽申告)容疑で東京地検に告発した。公安部は、中国が最終輸出先だったとみている。炭素繊維材は、スポーツ用品や自動車など身近な製品から人工衛星、ミサイル、戦闘機まで用途が広がり、メーカーが激しく競っているが、不正輸出の摘発は初めて。
送検容疑は09年5月、炭素繊維の板材2枚を経済産業相の許可を受けずに台湾の商社に輸出。同年1月にも板材1枚を香港の会社に無許可で輸出したとしている。公安部は11月上旬に、同社の親会社で、元管理部長が在籍する大手化学メーカー「クレハ」(中央区)を捜索するなどして捜査していた。
公安部によると、板材は炭素繊維などで作られ、熱に強いうえ柔軟で丈夫であることが特徴。ミサイルの先端などにも利用され、国は強度が高いものを規制対象としている。
税関が押収した荷送り状や商談メールなどによると、台湾の商社は中国・蘇州の半導体検査装置メーカーに輸出予定だった。公安部は板材が中国の軍事関係者に流通した可能性もあるとみている。
クレファイン社は、5万円以下の製品は許可が不要となる関税法の例外規定を利用し、本来の価格は2枚で46万円なのに、税関には「サンプル」と偽って200円などと申告したという。元部長は公安部に対し、「正規手続きでは数週間かかり、納期に間に合わないと思った」と供述しているという。
▽クレハ広報・IR部の話 子会社とはいえ、違法行為があったことは誠に申し訳ない。社員へのコンプライアンス教育を強化するなど再発防止に努めている。
毎日新聞 2011年12月7日 13時12分(最終更新 12月7日 13時38分)
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