国民生活センターが、消費者の相談窓口を充実するため国から受けた交付金のうち、およそ58億円を使う見込みのないまま積み立てていたことが、会計検査院の調査で分かり、国民生活センターは全額返還することにしています。
国民生活センターは、振り込め詐欺の増加や食品の産地偽装など、消費者問題が注目された平成20年度に、消費者への対応の充実を図るため、国からおよそ98億円の交付金を受けました。この交付金を使って、国民生活センターは市町村に専門家を派遣して、消費者からの相談の受け方やトラブルの解決方法などを指導して相談窓口を充実する、新しい取り組みを始めました。しかし、会計検査院が調べたところ、市町村からの依頼が少なく、専門家の派遣が当初の計画を大幅に下回ったため、使われた交付金はことし3月末の時点で14億7000万円余りにとどまっていることが分かりました。交付金の残りは積み立てられていますが、使用期限の来年度までの事業費を除いても、およそ58億円が余る見通しで、会計検査院は国民生活センターに返還するよう求めました。これを受けて国民生活センターは、「ニーズを把握せずに予算を組んでしまった」として、指摘されたおよそ58億円全額を国に返還することにしています。