愛知県豊川市で昨年4月、家族2人を刺殺し、3人に重傷を負わせて自宅に火をつけたとして、殺人などの罪に問われた無職岩瀬高之被告(31)の裁判員裁判で、名古屋地裁岡崎支部は7日、懲役30年(求刑無期懲役)の判決を言い渡した。久保豊裁判長は「家族を包丁で手加減なく突き刺す残虐な犯行」と述べた。
公判の争点は、岩瀬被告に殺意と責任能力があったかどうかだった。殺意について判決は「包丁で首、顔など致命傷になる部位をちゅうちょなく何度も突き刺した」と指摘。「けがをさせるために包丁を持ち出した」として、殺意を否定した弁護側の主張を退けた。
責任能力については▽幻聴や妄想に支配されての犯行ではない▽犯行から20分後に警察官に「家族を刺した。家に火をつけた」と話した▽携帯電話で通報しようとした被害者を突き刺したり、逃げようとした被害者の手を押さえつけたりしたことなどを挙げ、「状況を把握しつつ、目的にかなった行動をしている。責任能力があった」と認定した。