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明治の粉ミルクからセシウム検出、消費者の不安高まる


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 【東京】食品大手の明治は6日、販売されていた粉ミルク「明治ステップ」(850グラム缶)から放射性セシウムが検出されたと発表した。

 今回の発見で福島第1原子力発電所の事故の影響を受けた食品のリストがまた長くなった。放射線の影響を最も受けやすいとされる年齢層向けの製品では初の検出だ。

Associated Press/Kyodo

 明治によると、検出されたセシウム137とセシウム139は1キログラム当たり最大30.8ベクレル。汚染された缶の個数は不明だが、同じ時期に生産した40万缶が販売されており、回収はしないが、消費者が希望すれば無償交換するという。

 検出量は政府の暫定規制値(1キロ当たり200ベクレル)を大幅に下回っている。同社は文書で、「毎日飲用しても健康への影響はないレベル」としている。厚生労働省・監視安全課は電話取材に、問題ないとの見解を示した。

 しかし、政府の現行基準で安全なのかどうか、専門家や親の疑問は増幅している。消費者は牛肉やコメの汚染に関する報道を受け食品の安全性に神経をとがらせており、今回の検出で不安がさらに高まりそうだ。

 政府に対しては、食品検査の拡大、安全基準の見直し、規制強化といった訴えがあり、小さな子どもを持つ母親たちが特に積極的だ。

 自分で放射線量を量る草の根団体に参加する人も多い。こうした団体が相次ぎ今回のニュースをサイトに掲載すると、母親たちがツイッターなどで不安を訴えた。

 明治が今回検査を実施したのは、市民団体が「明治ステップ」について行った放射線検査で反応があったこときっかけだ。同社の広報担当者によると、不安に思った顧客からの電話が11月28日にあり、検査を行ったという。

 同社も政府もあらためて安全を確認したが、疑う声もある。「子どもたちを放射能から守る全国小児科医ネットワーク」の代表で小児科医の山田真氏は、政府の基準は容認できないと述べた。山田氏によると、この基準は四半世紀前にチェルノブイリ原発の事故を経験したベラルーシやウクライナといった国に基づいている。今回検知された量のセシウムを含む製品は乳児にとって良くないという。

 明治は粉ミルク市場で40%のシェアを持つ。問題の製品は、大気中に大量の放射性物質が放出された3月14~20日に製造したという。広報担当者によると、同社は3月21日に放射線量を検査したが、検出限界値未満だった。以来、その前後に製造された製品は安全だと考えていたという。

 同社工場のある埼玉県春日部市は、福島第1原発から約180キロの距離にある。

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