「水俣病訴訟支援・公害をなくする県民会議医師団」(藤野糺団長)は5日、水俣病特別措置法に基づく未認定患者救済で対象地域外とされている芦北町の山間部で集団検診を実施し、受診者の95%を水俣病と診断したと発表した。
水俣病特別措置法の未認定患者救済について、記者会見で提言を発表する藤野糺・水俣協立病院名誉院長(右から2人目)ら=水俣市
集団検診を実施したのは標高約500メートルの地区。水俣病が多発した時期は、行商などで魚がもたらされたという。医師団が今年7月、住民数人に水俣病に特徴的な感覚障害を確認したため、今回の検診を行ったという。
医師団が10月までに診察したのは、高校生2人を除く住民76人(42~88歳)のうち39人。その結果、37人(95%)を水俣病と診断した。このほか、地区外に転居した4人も水俣病と診断したという。
医師団は同日、この検診の結果を踏まえ、特措法に基づく未認定患者救済の申請受け付けを早期に打ち切らないよう、環境省に求める提言も発表した。
6日、同省に郵送する提言では、10月の申請者数が熊本、鹿児島両県で638人に上っていると指摘。「まだ多くの潜在患者がいるのは明らか。国は被害実態の把握をしないまま収束を図るべきではない」としている。
特措法の救済措置方針は、年末までの申請状況を把握して受付期限を見極めると規定。医師団は来年度も水俣病の集団検診を続けるという。(辻尚宏)
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