食品大手の明治(東京都江東区)は6日、粉ミルク「明治ステップ」850グラム缶の一部から1キロあたり最大30・8ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。厚生労働省によると、粉ミルクからのセシウム検出は初めて。乳製品の暫定規制値(1キロあたり200ベクレル)未満で、毎日飲んでも健康に影響ないレベルとされているが、同社は「安心して使っていただくことを最優先する」として、検出された製品と近い時期に製造した同銘柄の約40万缶を無償で交換する。
セシウムが検出されたのは、同社埼玉工場(埼玉県春日部市)で3月14~20日に製造した粉ミルクを使ったものの一部。11月28日、「ステップで放射性物質が出たと聞いた」と報道機関から問い合わせがあり、在庫分などを調べたところ、21・5~30・8ベクレル検出された。前後の期間に製造した粉ミルクを使った商品は、いずれも検出限界値(1キロあたり5ベクレル)未満だった。
原料の粉乳は大部分が豪州など外国産で一部は北海道産だが、いずれも東日本大震災以前に製造された。
同社は、粉乳を水などと混ぜ合わせて霧状に噴霧したものを熱風で乾燥させて粉ミルクを作っており、「乾燥の過程で取り込んだ外気に含まれるセシウムが影響した」とみている。
同社は4月末から毎月1回程度、放射性物質の定期検査を行っているという。
無償交換の対象は、賞味期限が来年10月3~6日、同21~24日の製品で全国に流通。問い合わせは同社お客様センター(0120・077・369、平日午前9時~午後5時)。【曽田拓、石川隆宣】
粉ミルクからのセシウム検出について、2歳の長男がいる東京都世田谷区の主婦、中山瑞穂さん(41)は「驚きはない。やっぱりという感じ」。11月中旬には、市民測定所の検査で、この製品からセシウムが検出されたとの情報がフェイスブックを通して母親仲間で流れていたという。中山さんは「乳製品は放射線の影響を受けやすい子どもたちが毎日飲むもの。もっと早く調査をし、情報を開示してほしかった」と不信感を募らせる。
東京都調布市の「二葉くすのき保育園」の栄養士、谷口春奈さん(32)は「乳児の成長にどう影響するか分からないので不安。原因を明らかにしてほしい」と話した。【和田浩幸、黒田阿紗子】
粉ミルクメーカー各社には6日、購入した母親らから「検査しているのか」などの問い合わせ電話が殺到し、対応に追われた。
森永乳業(工場・東京都東大和市)は「自社の精密測定器で月に1回以上検査しているが、これまで不検出が続いている」とし、当面は現時点の検査態勢を維持する構え。アサヒビール系列の和光堂(工場・栃木県さくら市)は「精密測定器や簡易検査キットで数日おきにサンプル検査しているが、検出されたことはない」(親会社アサヒグループホールディングス広報部門)という。
雪印メグミルクは、製造を関連会社ビーンスターク・スノー(工場・群馬県大泉町)に委託しており、「7月に1度商品を検査したが、不検出だった」と説明。ビーンスターク・スノーも販売を手がけており、明治の問題の商品が3月中旬に製造されたことから、「同じころに製造した商品があるかどうか調べている」としている。【川崎桂吾】
毎日新聞 2011年12月7日 東京朝刊
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