自転車の安全に関心が高まる中、事故に備えた保険が広まり始めた。損害保険各社は昨年3月までに自転車専用保険の販売を中止したが、新たにコンビニ店頭や携帯電話で契約できる利便性の高い保険が登場。公益財団法人・日本交通管理技術協会が交付する保険付きの「TSマーク」の枚数も前年から4割増え、加入意識は高まりつつある。【馬場直子、北村和巳】
自転車は車やオートバイのように強制加入保険がない。損保各社は約30年前から「自転車総合保険」を扱っていたが、商品のスリム化や関心の低さ、経費がかさむことなどから販売を取りやめた。しかし、自転車と歩行者の事故急増や賠償金の高額化に加え、東日本大震災後に自転車通勤者が増加し、自転車保険に対する注目が高まってきたという。
セブン-イレブン・ジャパンは17日から、全国で三井住友海上火災保険の「自転車向け保険」の販売を始めた。既存の傷害保険に損害賠償時の補償をセット。個人型は年間保険料4760円で1億円の賠償まで対応する。「コンビニで契約できる気軽さ」が売りといい、三井住友海上の担当者は「主に子供が自転車で通学する主婦向けの保険」と説明する。
au損害保険は5月の開業時から、携帯電話で加入し月100円の保険料で1000万円までの賠償をカバーする保険を販売。レジャー保険なども扱うが自転車保険が最も売れており、契約者は20~30代が過半数で、やはり子供を被保険者とした母親が目立つという。7月以降、補償内容を見直し、より高額な賠償に対応する商品を発売、パソコンからも契約可能にした。住野彰社長は「自転車事故も車の事故と変わらないということをさらに広めたい」と話す。
また、購入時や点検時に1000~2000円の手数料を払って自転車に張る「TSマーク」には、対人死傷で最高2000万円を補償する保険がついているが、4~10月の交付枚数は111万2085枚。これは前年同期比4割増で、過去にない増え幅という。
運営する日本交通管理技術協会の担当者は「量販店をはじめ自転車店が積極的にPRに取り組んでおり、学校も保険加入を自転車通学の条件にするなど指導を進めている」という。
警察庁が先月まとめた自転車交通総合対策は、自転車の車道走行の徹底を打ち出すとともに、利用者に保険加入の必要性を理解させるとしている。
毎日新聞 2011年11月25日 東京夕刊
ウェブサイトが15分で簡単作成、しかも無料で
クルマの最先端が集結
学生は社会で必要とされる力を身につける