ブレーキを装備していない競技用自転車を運転していたとして、警視庁に交通切符(赤切符)を切られたお笑いコンビ「チュートリアル」の福田充徳さん(36)について、東京区検が起訴猶予処分としたことが分かった。警視庁が道交法違反(制動装置不良)容疑で書類送検した10月28日付で処分を決めた。
送検容疑は9月28日正午ごろ、東京都世田谷区の都道で後輪のブレーキを装備していない自転車を運転したとしている。【伊澤拓也】
福田さんのようにブレーキを装備しない競技用自転車の公道走行を巡っては、警察が交通切符を切るケースが東京都内などで急増している。道路交通法は制動装置不良について5万円以下の罰金と定めており、警察は書類送検するが、検察側が罰金刑を求めて略式起訴することは極めてまれだ。捜査関係者からは「何度も切符を切られるなど悪質なケースは略式起訴すべきだ」との指摘も出ている。
警視庁による制動装置不良の摘発は09年はわずか2件だったが、昨年は661件に急増。今年は9月末までに700件と昨年を超えた。背景にあるのは、自転車ブームを受けた「ピスト」と呼ばれる競技用自転車の広まりでブレーキを取り外す愛好家が多いとみられる。
自転車は免許制度ではなく、車のように反則金を納付させる行政処分の「青切符」がない。このため取り締まり現場では刑事手続きに入ることを示す「赤切符」が切られ、検察当局は略式起訴するか否かの判断を迫られる。捜査関係者は「罰金刑でも前科となるため検察が消極的になっている」と指摘する。
警視庁は昨年から、複数回摘発されるような悪質なケースは起訴するよう東京地検に要請しているが、まだ実例はないという。10年12月には福岡区検がピストで切符を2度切られた20代の男性を略式起訴し、福岡簡裁が罰金6000円の略式命令を言い渡したが、これは全国的にも珍しいケースとされる。
交通問題に詳しい高山俊吉弁護士は「自転車の違反に反則金制度がないため、好き勝手な走りが横行してきた部分はある。通行帯を明示したうえで、反則金制度の導入を検討すべきではないか」と話している。【伊澤拓也】
毎日新聞 2011年11月1日 東京朝刊
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