'11/12/5
シンボルの酒蔵煙突どう維持
東広島市の酒蔵地区に立ち並ぶれんが造りの煙突、酒蔵の維持に酒造会社が頭を悩ませている。清酒販売が低迷する中、補修費が重くのしかかる。市教委は、助成などが見込める文化財保護制度を利用して各社を後押ししようと建物調査を続ける。街のシンボルを地域振興に生かす官民の一層の取り組みも欠かせない。
築約100年の煙突に足場を組み、職人が作業する。明治時代から戦前にかけて建てた6本がある賀茂鶴酒造。11月、業者に頼み4本を修復した。
煙突は、酒米を蒸す時にまきや石炭を使っていた時代の名残だ。20年ほど前にボイラーに役目を譲り今は使っていない。補修費は数百万円。藤原昭典副社長(59)は「直接利益になるわけではないが伝統のブランドの象徴。大切にしたい」。
市教委によると、酒造8社が集まる酒蔵地区には15本のれんが煙突が立ち、酒蔵は45棟ある。煙突は1本を除いて役目を終えた。補修費は全て酒造会社の負担だ。各社とも経営は楽ではないが、自社の広告塔と景観を守るため維持に努めている。賀茂泉酒造の前垣寿男社長(65)は「官民一体で建物を残す取り組みが必要」と強調する。
補修費の助成や税制の優遇措置が受けられる制度には、市の重要文化財の指定などがある。市教委は制度利用に向け、広島大の協力で2003年から本格的な調査をしている。建築技法の確認や採寸を重ね、181件を調べた。
「酒造関連の建物がこれだけ集まる地域は他にない。保存に加え酒蔵地区や西条の酒のPRに貢献したい」と文化課。文化財になれば改築に規制がかかるため、各社の理解を得て登録や指定を進めるという。
「せっかく残す建物を多くの人に見てもらい、地域振興に生かす方策も必要」。各社からそんな声も上がる。市は本年度から市観光協会に委託し、酒蔵で武将や忍者姿の店員が接客する戦国カフェや大学生の美術展の支援を始めた。
【写真説明】補修されたれんが造りの煙突。美しい景観をつくり出す東広島の財産でもある