経済

文字サイズ変更

歳末商戦:被災地・仙台の百貨店活況 「家で家族と」で

カウンターでお歳暮ギフトを注文する買い物客ら=仙台市青葉区の仙台三越で、影山哲也撮影
カウンターでお歳暮ギフトを注文する買い物客ら=仙台市青葉区の仙台三越で、影山哲也撮影

 東日本大震災で被災した仙台市の百貨店の歳末商戦が活況を呈している。クリスマスケーキやお節料理セット、お歳暮の売り上げが震災前の前年同期より大きく伸びている。震災の経験で「年末年始は家族と過ごしたい」と考える人が増えていることや、仙台が復興の拠点となっていることが背景にあるようだ。【影山哲也】

■福袋商戦も期待

 仙台市青葉区のJR仙台駅前にある「さくら野百貨店」は、予約の受注件数がクリスマスケーキで前年同期の2倍、お節セットで5~6割増を記録している。同店の担当者は「家族と一緒に過ごし、絆を確かめ合おうという人が増えているためではないか」と話す。

 同じ区内にある「藤崎」も、お歳暮ギフトの売り上げが前年同期比3~4割増と、好調だという。復興を支えたいとの気持ちからか、かまぼこや牛タンなど地場産品の詰め合わせを買い求める客が増えた。同店の担当者は「被災した相手先を気遣い、今年はのしをかけずに贈る人も目立ちます」と話す。

 各百貨店とも年明けの福袋商戦に向け、震災にちなんだテーマを意識して商品を準備し、好調な売り上げを維持しようと懸命だ。

 同区内の「仙台三越」は「節電」をテーマに、電気自動車が当たる福袋を用意。「さくら野百貨店」は約2カ月で組み立て可能な木製の「ユニット住宅」が当たる住宅福袋を企画した。

■仙台独り勝ち

 日本百貨店協会によると、直近のデータである10月の売上高は、仙台市内の加盟百貨店3店で前年同期に比べ9.7%増。6カ月連続のプラスだった。

 一方、協会によると、東京23区内は1.9%減で、4カ月連続のマイナスだった。大阪市内は1.1%増だったが、プラスに転じたのは3カ月ぶり。名古屋市内は2カ月ぶりのプラスだが、0.1%増にとどまり、大都市圏に比べ、仙台の好調ぶりが際立っている。

 協会は「震災が起きた直後、仙台市内の百貨店では家具など高額商品が売れた。秋以降は冬もの衣料の販売が好調だ」と説明する。

 地元百貨店によると、背景の一つは、津波被害を受けた宮城県沿岸部の被災者や県外からの工事関係者の流入。仙台市によると、市内の人口は震災前から4000人以上増えた。市内の百貨店の幹部は「住民票を移動させていない人もおり、もっと多くの人が移っているはず」と見ている。

 経済ジャーナリストの荻原博子さんは「震災復興のため建設会社の活動拠点になっている仙台は今、特需に沸いている。現場を離れられず、クリスマスや正月に家族を呼び寄せる人も多いのではないか」と語る。

毎日新聞 2011年12月6日 13時56分(最終更新 12月6日 14時14分)

 

おすすめ情報

注目ブランド

毎日jp共同企画

特集企画

中小ビジネスを変えるオンラインとは

ウェブサイトが15分で簡単作成、しかも無料で

東京モーターショー 注目のクルマ

クルマの最先端が集結

東海大学:ソーラーカーレースで連覇!

学生は社会で必要とされる力を身につける