<原発賠償指針>「私たちの気持ち理解して」避難者切実な声
毎日新聞 12月7日(水)1時43分配信
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「子供につらい思いをさせているのが一番悔しい」と長男を抱く、小泉瞳さん=山形市落合町の市避難者交流支援センターで2011年12月6日、前田洋平撮影 |
福島県郡山市の主婦、小泉瞳さん(33)は自宅周辺の除染が進まず、仕事のある夫(30)を自宅に残し、3歳の長女と1歳の長男と一緒に10月に山形市に自主避難した。引っ越し費用は約30万円。今回の賠償指針について小泉さんは「『自主避難』という言葉に後ろめたい気持ちがあった。国が認めただけでなく、まとまったお金が入ることで助かる」と評価しつつ、「家族がばらばらになったつらさはお金では補償されない」と声を詰まらせた。
4月に福島県北部から熊本県へ長男(6)と長女(4)を連れ避難してきた女性(41)も夫(48)を福島に残しての二重生活で、子供用に積み立てた140万円などを取り崩した。福島と熊本は新幹線を乗り継いで9時間、往復6万円かかるため、夫が子供たちに会いに来られたのは運動会の1回だけだった。
それでも避難した自分たちは安心を得たが、福島に残った友人は放射能を恐れ、マイホームの庭をコンクリートで固めたと聞いた。「個人にこんな微々たる額を支払うくらいなら、まとめて除染や地域に使ってほしい。福島の尊厳を返して」と訴えた。
福島県会津若松市の英会話講師、片岡輝美さん(50)は事故直後、当時中学3年生の次男(15)と三重県鈴鹿市の親戚宅に2週間ほど避難した。隣の郡山市は対象だが、会津若松市は対象外。片岡さんは「自主避難した人がどんな気持ちで逃げたのか、国は理解しているのか」と話す。
「子供の健康に何かあってからでは遅い」。避難はそんな不安からだった。国は住民を帰還させるための除染には熱心だが、不安を抱えて避難する人のことはあまり考えていないようにみえる。
片岡さんは「今回の補償で終わりとせず、継続的な対策をしてほしい」と求めている。
福島県に接する茨城県北茨城市の自宅に夫を残し松山市で幼稚園児2人と暮らす鳥居塚愛子さん(32)も、賠償対象から外れた。
8月に一時帰宅したが、近くの清掃センターでは職員が防護服姿で作業していた。「こんな所で子供を育てて大丈夫か」。父親や友達と離れ離れで子供たちも寂しがるが、再び松山に戻らざるを得なかった。
「原発がなければこんな遠くまで逃げる必要もなかった。原発から50キロか70キロかなんて風が吹けば影響は変わらない」と話す。【前田洋平、佐々木洋、中村敦茂、結城かほる】
最終更新:12月7日(水)2時45分
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