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【放射能漏れ】粉ミルクからセシウム 専門家は「健康問題ない」、「冷静な対応を」
多くの子供が口にする粉ミルクから放射性セシウムが検出された。子供は放射性物質による被(ひ)曝(ばく)の影響が大きいとされ、食品中の放射性物質の新基準値作りを進める厚生労働省は、新たに粉ミルクなどを対象にした「乳児用食品」の基準値設定を決めている。親の不安は膨らむが、専門家は冷静に対応する必要があると指摘する。
「チェルノブイリの原発事故では、放射性ヨウ素に汚染されたミルクなどを大量に飲んだ子供に甲状腺がんが発生したと言われている」。京都医療科学大の遠藤啓吾学長(放射線医学)は放射性物質の影響についてこう説明する一方、「今回は検出された数値が極めて小さい」と指摘。「粉ミルクはお湯で溶いて飲むため、さらに薄まる。乳児の体に影響はほとんどないと考えられる」と分析する。
東京電力福島第1原発事故後、市民団体の調査では母乳から1キロ当たり最大36・3ベクレルの放射性ヨウ素を検出。厚労省も母乳調査で最大13・1ベクレルの放射性ヨウ素を検出したが、厚労省は「引き続き授乳を続けても心配ない値」とし、日本産科婦人科学会も「この範囲なら乳児への影響はない」との見解を出している。
遠藤学長は「放射性セシウムは放射性ヨウ素に比べ体への影響が小さい」とも。放射性ヨウ素は体内で甲状腺に集まりやすい性質があるが「放射性セシウムの場合は筋肉にたまりやすいものの、1歳未満の乳児なら8日で約半分が体の外へ排出される」からだ。
厚労省の調査にも参加した国立成育医療研究センターの久保隆彦産科医長は「今回の数値なら心配する必要はないが、企業はしっかりと混入原因の調査を行って、親の不安に応えるべきだ」とした上で、「あまり親が心配しすぎて、育児に影響が出るのも問題。正しい情報を得て、神経質になりすぎないようにするのも大事」と話している。
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