目次 1-2-3-4-5-6




それちょっとストレート過ぎだろ…と思いつつも、俺はニヤニヤするのを止められなかった。

ラグビー部に来た初日、忠勝に掛けた洗脳は一つ。それは俺の事が好きになるという事。
男が男に告白する事には抵抗感があるだろうし、最悪一月は掛かると思っていたが、思いきりが早いのか、考えが足りないのか。
まぁ良い。そういうまっすぐさは嫌いじゃない。

「へー…マジっすか?」

「おう、大マジだ」

吹っ切れたのか、堂々として俺に言う。

「俺男っすよ?」

「見りゃ分かる」

「チュウさんってホモなんすか?」

「じゃない…と思ってたが、お前の事が好きになったんだ」

「歳結構離れてるのに?」

「ああ…後輩の弟なのにだ。孝史には悪いと思ってるが、こういうのは抑えらんねえ」

「俺の名前も知らないのに?」

「じゃあ、教えてくれよ」

「ふーん…そんじゃ、チュウさん家行きましょう」

「おう…って…は?何で俺ん家に…」

「だって…こんな話部室でするもんじゃないっしょ?なるべく人の居ない所の方が良いじゃないですか」

「まぁそうだが…いいのかよ、お前は」

惚れた相手と二人っきりで理性が持つか、不安なんだろう。自分が喰われる側になる事なんて全く想定してない。

「だってチュウさんだし」

何の返事にもなってない一言で真っ赤になって黙り込む。こいつ可愛いなぁ。
更に質問してみたくなった。

「ね、髭剃ったのって俺に告白するためですか?」

「ん、あまり男っぽくし過ぎてるよりはマシだろって思ってな…まぁ俺の顔は髭剃った位じゃ女っぽくなんてならないけどな…つーかよ、聞くなよそんな事」

「えーっ、いいじゃないすか、聞きたい事なんだし。そんじゃ、行きましょ行きましょ。今日位部活サボっても罰なんて当たりませんよ」

「な、なんか結構強引だなぁお前」

俺は偶にはこういうお遊びも楽しいなぁなんて思いつつ、
惚れた弱みで強く抗えない忠勝を連れて、忠勝のアパートへと二人で向かった。

「へえ、ここですか」
「お、おう。悪いな、こんなボロアパートで」
忠勝はそういいながら、アパートの階段を上がっていく。
確かに、あまり新しくないアパートだが、ボロボロということもない。
いかにも金の無い学生らしい、質素なアパートだ。
俺のマンションをこいつに見せたらどういうリアクションをするのだろう、と少し思った。
「ま、まあとにかく上がれよ」
そう言いながらドアを開ける。外観で予想した通り、かなり狭い。ワンルームだ。
そして汚い。台所には洗っていない皿、部屋のベッドの上には脱ぎ散らかした服が散らばっている。
机の上にはラグビー雑誌。
実に忠勝らしい部屋だ、と俺は思った。
「わりぃな、散らかってて……来るってわかってたら、片したんだけど」
そう言いながら忠勝は照れてうつむいている。本当にかわいいやつだ。
「どこに座ったらいいですか?」
俺は聞く。
「あ、ああ…じゃあ、とりあえずベッドにでも座ってくれ」
「はーい」
俺は座り、忠勝が冷蔵庫に何か飲み物がないか探しているのを確認すると、ベッドの下を覗き込んだ。
…あった。

忠勝がコップを持って戻ってくる。
「とりあえず麦茶でいいか?…ってお前、何してんだよ!」
俺は忠勝のベッドの下から見つけた、エロ本をぱらぱらと読んでいた。
女の裸のエロ本だ。忠勝は慌ててお茶を机に置くと、俺の手から雑誌を奪い取る。
「ほんとにチュウさん、ホモじゃないんですね。そういう女が好きなんですか?」
俺はニヤニヤ笑いながら、忠勝の持つ雑誌を指さす。
「あ、ああ、そ、そうだったよ。でも今は、今はお前が好きなんだよ」
忠勝はそういって、そのエロ本をゴミ箱に投げ入れる。
忠勝はそのまま、俺のもとへ歩いてくる。
「なあ、さっきの返事…まだ、してくれてないよな。どうなんだ、OKなのか?
俺と、つきあってくれるのかよ。家に来たってことは、そう思っていいのか?」
そう言いながら、忠勝はベッドに座る俺に、ずしりと乗っかってきた。
俺はそのまま押し倒されてしまう。

「なあ、…どうなんだよ。ホント、もう俺、ガマンできねえ…」
上に乗っかった忠勝の股間は、硬くなって熱を帯びている。その熱が、ズボン越しに伝わってくる。
目の前の忠勝の表情は、雄の獣そのままだ。ギラギラした瞳が俺を見つめ、荒い呼吸をしている。
全く、何のために髭を剃ったのか分からない。
それにしても急に積極的だな。さっきまでもじもじしてたのが嘘みたいだ。
俺はのしかかる忠勝の股間に、ゆっくりと手を伸ばす。
「……!?」
突然股間を触られて、驚きに忠勝は表情をゆがめる。
「返事の前に、俺のお願い聞いてくださいよ」
「…、あ、…、な、なんだよ」
「それはですね……」
俺は忠勝の耳元で囁く。

「こ、これでいいのか?」
俺の目の前には、ユニフォーム姿の忠勝が居た。
「ええ、やっぱり似合いますね、その格好。かっこいいです」
「そ、そうか、あ、ありがとな…」
そう言いながらも、先ほどのようにまたもじもじとしている忠勝。無理もない。
「な、なあ、スパッツ履かせてくれよ、スースーしてきもちわりぃんだ」
ユニフォームに着替えてください。あ、でも、ラグパンの下には何も履かないでくださいね。
それが俺のした「お願い」だ。
勿論忠勝も、最初の練習見学時にノーパン練習をしている(させられている)のだから、実際これは二回目なのだが、羞恥心があるのとないのは、やはり違った趣がある。
それにあのときは、ずっと忠勝だけを見ているわけでは無かったから、こうしてじっくり見るのは初めてだ。
「それにしてもほんと、すごい体ですね」
本当にそう思う。スパッツによる締め付けが無いせいか、前に見たときよりも遥かに、ユニフォームがピチピチしているように見えるのだ。ラグシャツは胸の筋肉で浮かび上がり、ラグパンは太ももの形を浮かび上がらせている。そしてその太ももの間。
「…手、どけてくださいよ」
「うぇえ?マジかよ…」
口では抵抗しながらも、忠勝は、ゆっくりと手をどける。

ラグパンには、忠勝のデカチンの形が、くっきり浮かび上がっていた。勿論太ももが太いせいで、全体が引っ張られているというのはあるが、これだけハッキリ形が分かる理由は一つだ。
忠勝は興奮しているのだ。まだ完全に勃起状態では無いが、半勃ちくらいにはなっている。
そのチンコが、ラグパンを押し上げているのだ。
勃起している理由。勿論大好きな俺が目の前にいるからというのもあるだろうが、もう一つあるだろう。
先ほどのエロ本。いや、あのエロ本だけじゃない。テレビの脇に積まれたAVもそうだ。
SMもの。しかも、男が攻められるものばかりだった。
忠勝はMなのだ。間違いない。俺は確信していた。
「ホントにチュウさん、チンコでかいですね!」
「あ、あ、ああ…」
忠勝は顔を真赤にしている。しかし、その硬くなった表情の中に、幽かに愉悦が浮かんでいた。
「でもこの間風呂で見たとき、チュウさんのチンコ、皮かぶってませんでした?」
「え、おまえ、そんな、」
動揺する忠勝を無視して俺は畳みかける。
「チュウさん、包茎なんですね!仮性ですか、真性ですか?」
「そ、そんなの…」
「教えてくださいよ、いいじゃないですか、俺とエッチするんだったら、どうせそのとき分かるんですし。どっちなんですか? 仮性包茎? 真性包茎?」
俺はわざとリピートして話す。忠勝は口を何回かパクパクさせていたが、やがて小さな声で
「か、仮性だよ…」
と言った。
「え? すいません、聞こえませんでした。もっかいお願いします」
「か、仮性、仮性だよ!」
「なんだー、仮性なんですか。残念だなー。真性の方がいじめられたのに。まあいいや」
「な、なんだよ、いじめるって…」
「え?だってチュウさん、Mなんじゃないんですか?」
「ち、ちげぇよ!Mなんかじゃねぇよ!」
後輩の弟ということになっている俺に対し、自尊心が働いているのだろう。忠勝は否定した。
俺は忠勝の股間を指さした。
「でもチュウさん、めちゃめちゃ勃起してるじゃないですか」

「え? え、あっ」
慌てて股間を隠す忠勝。
「隠さないでくださいよ。ていうか、隠したらもったいないですよ。そんなにすごい体に、そんなにすごいチンチンなんですから。まあ包茎ですけど」
「お、おまえ…」
「ほらほら、気をつけして」
俺が言うと、あっさりと忠勝は従ってしまう。この異常な状況に、もうすっかり慣れてきてしまっているようだ。
俺はベッドから立ち上がって、忠勝のもとへと歩いて行く。忠勝は気をつけをして、じっと俺を見つめている。
犬。俺が最初に忠勝を見たときに思った言葉が蘇る。
犬、それも忠犬だ。
早くこいつを俺の奴隷にしてやりたい。これだけ素質のある人間が俺の奴隷になったとき、どれだけ俺に尽くしてくれるだろう。
だが俺ははやる気持ちを抑え、この異常な「恋人ごっこ」を続けることにした。
犬にするのは、奴隷で無い忠勝の、俺が植え付けた「好意」を存分に吸いつくしてから、だ。
俺は忠勝に囁く。
「…いいですよチュウさん、つきあいましょう、俺達。俺も、最初からチュウさんのこと、かっこいいって思ってたんですよ」
「ほ、本当か!? あ、ありがとな…おれ、ひっ」
忠勝がひきつった声を漏らす。俺が急に股間を鷲掴みしたからだ。
「うわ、ほんと、すっげー硬くなってますね。ギンギンだ。」
俺はそう言いながら、忠勝の股間を優しく、激しく揉む。
忠勝は上を向いて、「あー、あ、あ」と声を漏らしている。
「あ、チュウさん、ほら、先走り出てきましたよ。ユニフォーム汚れちゃいますね。っていうかもう汚れちゃってますね。すっごい先走りですよ。ほら、俺の手にすごいついてる」
忠勝のデカチンからあふれた先走りは、ラグパンを濡らし、俺の手まで濡らした。
俺は忠勝の前にその手を差し出す。テラテラと光る手を寄り目になりながら見る忠勝の口に、俺の手を強引にねじ込んでやる。
「んあっ」
驚きながらも、忠勝の股間はビクンと震えた。本当にコイツ、真正のMだな。

「あーあーチュウさん、こんなにユニフォーム汚しちゃって。悪い子だなあ。副部長なのに、こんなにユニフォーム汚しちゃって、あーあ」
「んう、んんん、んあっ」
手が口の中にあってしゃべれない忠勝を無視しながら、俺は言葉攻めを続けていく。
「ねえ、副部長さんが、こんなにユニフォーム汚しちゃっていいんですか? しかも自分の先走りで。皆、今頃部活してるんですよ。部活サボってこんなとこで勃起して、しかも先走りでユニフォーム汚して、すごい変態じゃないですか」
「んう、ん、ん…」
そう言われながらも、忠勝は俺の手をしっかり舐めている。
「何か言うことは」
俺は手を忠勝の口から抜いた。
「あ、す、すいま、せん………お、おれ、は…真正の、マゾ、野郎、です…」
忠勝の口からすらすら言葉が出てくる。恐らくAVで男優が言ってた言葉なんだろう。
そういう想像でもしながらオナニーしてたんだろうか? 俺はほほえましい気持ちになる。
「上出来ですよ、チュウさん」
そういって、ジャリジャリする坊主頭をぐいと引きよせて、唇を重ねる。
忠勝が驚いて目を見開く。
肉厚な唇を割って舌を押しこむと、やがてうっとりとした顔になって、忠勝も舌を絡めてきた。
俺は忠勝に抱きついて、がっしりとした背中に手を回す。
忠勝もそれに倣って、俺の背中に手を回してくる。
ぴちゃ、くちゅ、という音だけが、ワンルームの部屋に響いている。
俺は唇を重ねながらも、ふとももを忠勝の股間に押しつけて、ズリズリこすって刺激してやる。
すると、「ンっ」と声を漏らし、忠勝が一度ビクンと震えた。
おいおい、まさかイったのか?
そう思って俺が唇を離すと、本当に忠勝はイってしまっていた。
ラグパンに白いシミがでろんと浮かんで、一筋が忠勝のぶっといふとももを伝って垂れていた。
まあ、イってしまったものは仕方ない。
これからこいつをどうしてやろう?
快感に腰が抜けたのか、その場に座り込んだ忠勝を見下ろしながら俺は考えた。

「もー。ダメじゃないスか、チュウさん。もうイっちゃったんですか?」
座り込んでうつむいている忠勝を見下ろしながら、その染みで巨根を透かすラグパンをぐりっと踏みつける。
「ひあっ」
「ダメですよ〜。包茎で早漏なんて、いくら巨根でも、さすがに女の子に嫌われちゃいますよ?」
そう言いながらグリグリ踏んでいると、足の裏の感覚が徐々に硬度を増していく。
忠勝は荒く短い息を漏らしながら、何も言うことができずにうるんだ目で俺の方を見ているが、焦点が微妙に合っていない。
「チュウさん別に、今まで彼女さんだっていたんでしょ?今は居ないんですか?」
「あ、い、まは、ぁっ、い、な、……」
「今までは? 居たんでしょ?」
ペロンと顔を出してピンク色に透けている鬼頭の部分を、親指でコチョコチョくすぐってやる。
快感に口を真一文字につぶりながらも、ガクガクと頷く忠勝。
「でも、こん、なの…は、あっ」
まあ、こんな風に攻められたことは無いんだろう。そりゃそうだ。俺は改めて忠勝を見下ろす。
坊主頭。太い首。膨らんだ僧帽筋、胸筋。がっしりした腰回り、太もも。
普通の人間がこいつとすれ違ったら、自ら道を開けてしまうだろう。それくらい迫力があるのだ。
こいつに惚れる女も、こいつのこの男らしさ、逞しさに惚れるだろう。
忠勝もそれが分かるから、「俺のことを攻めてくれ」なんて言えるわけがない。
彼女がいる時もこいつは一人で悶々と、自分がいじめられる想像でオナっていたに違いないのだ。
俺はふと思いついて、しゃがみこんで忠勝の乳首をぐいっと摘む。
「あ、ひやああっ」忠勝はビクンと大きく痙攣してのけ反った。
やっぱり。
「チュウさん、オナニーのとき乳首いじったり、してたんでしょ」
忠勝は顔を真赤にしながら、ぶんぶんと首を振る。
「嘘だぁ、じゃないとこんなに、普通感度良くならないですよ。正直に言ってくださいよ。いじってたんでしょ?」
俺はそう言いながら、ラグシャツにくっきり浮かんだ忠勝の乳首の先を、人差し指の爪でくりくりいじってやる。
もちろん足は、股間にすりつけながら、だ。
しばらく忠勝は声にならないうめき声をあげてながら、ぶんぶん首を振っていた。
「ふーん、そうなんだ。じゃあ、もう乳首はいじらなくていいですか?いいんですよね?」
俺がそう言いながら手を離す。すると忠勝はバッと顔をあげて俺を見つめてきた。

 忠勝はゆっくりと口を開き、ごくんと唾を飲み込み覚悟を決め、そして…

「あっ、そうだチュウさん。先にお風呂入りませんか?お互い汗かいちゃってるし」

 俺は、ようやく折れそうになった忠勝を制するように提案した。

「あっ…あ…ああ」

 乳首責めを中断するどころか、いきなり空気を変えてしまった俺に戸惑う忠勝。
急いでおねだりすれば更に責めて貰えるのか、それとも本当に俺が風呂に入りたがってるのか図りかねている。
 もし、このまま押し通したとしても、忠勝は落とせるだろう。
何せ奴自身が待ち望んだ、SMプレイをしてくれる「御主人様」(少し前は女王様だったんだろうが)が現れたのだから。
だが、それだけじゃ駄目だ。

 忠勝がMなのは嬉しい誤算だが、だからこそ、このままでは「主人と奴隷」という関係は、ただのプレイでしかない事になる。
プレイの外側には、「後輩と先輩」という忠勝優位の関係が保存されたままだ。
 昼は先輩の顔、夜は奴隷の顔。
その落差を楽しむ……というのもアリなんだろうが、俺は忠勝を忠犬にしたい。忠犬に二面性は不要だ。
 そのためには、忠勝が望むように虐め、望むように落とすだけでは足りない。
セックスの時には決して強権を振るわず、しかし普段の時にはお願いをゴリ押しする。
忠勝に、奴隷の時には先輩のように、先輩の時には奴隷のように振る舞わせるのだ。
そこに俺の催眠による誘導が合わさる事で、やがて二つの顔は溶け合い、俺のために尽くす一頭の雄犬が生まれるだろう。
 消化不良を隠さない忠勝と共に、俺は狭い脱衣所へと入った。
アパートの共同浴場は随分狭い。脱衣所はたった二人で満員だ。

「大学のとは違ってせっまいだろ?学生や独身向けのアパートだからなんだろうけど…」
「これ位の大きさだったら各部屋に一つずつ在ってもおかしくないですねぇ」

 時間が時間だからか、誰も来る気配は無いが、一応使用中の札を出しておく。
俺は、汚れたラグパンを脱ぎながらまだ物欲しげにしている忠勝の視線を無視し、さっさと浴室に入った。
こちらも予想通り、一人入れば満杯の浴槽だ。汚れてない湯が張ってあるのが唯一の救いだな。
 俺がシャワーを浴びていると、がらりと戸を開けて全裸の忠勝が入ってきた。
少し落ち着いたのか、マゾ奴隷の蕩けた顔から、先輩らしいキリッとした顔に戻っている。よし、好都合だ。

「背中流しますよ〜」
「ああ、頼む」

 俺の言葉に、にかっと笑って応える。
さて、引いた分、今度は押すか。
俺も、にやりと笑った。
 忠勝の広い背中、太い手足をスポンジを使わず、掌で洗う。だが、エッチな事は何もしない。
あくまで汗と汚れだけを落としていく。
忠勝も、最初は性的な接触を意識して、「あっ…おぅ…んっ…」と喘いでいたが、
やがてリラックスして目を閉じ、なすがままになっている。
 泡を流し終わったので、背中に抱きついてみた。
どくどくと忠勝の心臓の音が大きくなるのを感じる。
そのまま脇から前に手を回し、下腹に手を伸す。忠勝の息を呑む音が聞こえた。

「ねえ、チュウさん」
「なっ、なんだ…?」
「毛、剃って良いですか?」
「け…毛!?」

 一瞬何を言ったか分からなかったのか、固まった後に忠勝は驚いて振り返ってきた。
俺の手が忠勝の下腹部…陰毛付近を弄ってるのをちらりと見て、

「毛、毛って…アレか?チン毛か?」
「んー陰毛もそうだけど。下半身の毛全部。出来れば首から下全部」

何となく剃毛がマイブームだから、とは言わないでおく。

「な、何でそんな」
「チュウさんだって、髭剃って告って来たから分かるでしょ?…そっちの方が俺も抵抗感減るかな…って」

思いっきり嘘をついて、後ろからぎゅっと抱きしめる。
こんな男らしい男の告白に即日オーケーを返し、思いきり攻めた後にノンケぶるのもどうかと思ったが、意外と効いた。

「…う…くぅ…ああ!いいぜ!やってやる!……お前が、どーしてもって言うなら…」

 苦悩の後、自棄になったように叫んだ、が、すぐに声が小さくなった。
ホントは剃って欲しくないんだろう。憐れみを乞い、翻意を引きだそうとしてる。
当然無視する。

「ホントっすか!?部活とかあるから駄目かなーって思ったんすけど」
「!…それはだなぁ…やっぱナシって事に……いや、恋人に頼まれたからってちゃんと言やいいんだな」

 あー…部活の事は忘れてたのか…道理で決断が早いはずだ。
中々の行き当たりばったりっぷりだが、結論はやっぱり実直で好ましいな。
ふーん…剃毛は「恋人」のお願いで押し切れる、か……さて、どこまで行けるかな?

「おしっ!いいぞ!剃れ!」
「じゃ、遠慮なく。とりあえず陰毛だけ…」

 俺は頬を叩いて気合いを入れる忠勝に対してにっこりと笑い、
アパート住人の置き忘れらしいヒゲソリを拾って、振り返って仁王立ちになった忠勝の股間に泡を広げた。
そのまま丁寧に剃り落とす。股の付け根や玉袋の剃りにくい部分も上手く出来た。
忠勝はテンションが下がりすぎて逆に面白くなって来たのか、何やら自分で無毛部分の批評を始めている。

 しかし、忠勝のチンポは包茎だが、皮の下には亀頭の形や血管が浮き上がっていて、子供っぽさは微塵も無い。
その大きさもあいまって海外のポルノ男優みたいだ。
俺は半分ほど亀頭を露出させている包茎チンポを眺め、こう言った。

「ねえチュウさん。チンポの皮延ばして、完全に被さるようにして良い?」

今度こそ、忠勝は時が止まったように固まった。

「おま、それは、さすがに……なあ?」
しばらくの静寂の後、忠勝はおずおずと言った。まあ、さすがに無理か。
「恋人」のお願いで包茎になったなんて、言えるわけないもんな。
そうだな。俺はふと思いついて、忠勝を風呂に備え付けの鏡の前に連れていく。
「うわ…」
思わず声を漏らす忠勝。鏡に映った自分の姿に、驚いているんだろう。
体の中心にぶら下がったでかいイチモツは、毛が無くなったことでますます大きく見える。がっしりとした体つきの中でさえ、そのチンコは異様な存在感を放っていた。
俺は魔眼を開く。
忠勝が鏡越しに催眠状態に落ちた。
「いいか忠勝、お前は俺の言うことに、違和感を持たない。俺の言うことは全部その通りだと思う。」
「その通り、だと、思う…」
「そして忠勝、お前は俺のことが本当に大好きだ。だから俺の『お願い』は、本当に聞きたいと思う。いろいろと抵抗しても、最後にはお前は、俺の『お願い』を聞いてくれる」
「最後には、聞く…」
「そうだ、そしてお前はドMだから、俺の『お願い』を聞くことに、興奮する。最初は気付かないけれど、何度も何度も『お願い』を聞いているうちに、どんどん興奮するようになってくる」
「『お願い』を聞くと、興奮……」
「分かったな? そしたら目を覚ませ」
俺がパン!と音を立ててデカ尻を叩くと、忠勝はハッと目を覚ました。
「ねえチュウさん、聞いてました?」
「あ、いや……わり、ボーっとしてた」
「だから、毛剃って、そんなでもなくなったんですけど、やっぱり皮被ってたら、もっと俺も抵抗が無くなると思うんですよ。ちょろっと頭見えてるのが、逆にグロいっていうか」
実際、皮をかぶせたところでどうこうなるようなグロさでもないのだが、俺はむちゃくちゃなことを言う。

忠勝はしばらく悩んでいたが、やがて意を決したように顔をあげ
「そうだな、よし、よし、うん、コクったのは俺なんだし、お前のお願いくらい聞いてやらないとだよな。うん、よし、分かった、皮、…伸ばすよ」
俺は暗示がしっかりと作動していることに満足し、
「やった!嬉しいです、チュウさんさすが、男らしいですよ。カッコいいです」
そういうと忠勝は嬉しそうに笑う。のぼせているのか顔が赤らんでいて、それがますます俺の嗜虐心を擽った。
「でもチュウさん、勃起してるときは皮、剥けちゃうんですよね?」
「ああ、仮性だから…ってお前、まさか」
「はい、できれば勃起しててもかぶるくらいまで伸ばしてほしいんですけど…だって結局、エッチとかするときには勃起するんだから、そのとき剥けちゃったら意味ないじゃないですか。だから…できればでいいですよ、さすがにそこまで無理も言えないんで」
「ああ、そうだ、さすがに…それは……」
そう言いながら忠勝は眼を泳がせる。暗示と本心のせめぎ合いだ。
俺は悩む忠勝に後ろから抱きついて、
「でもチュウさんが、そんくらい皮伸ばしてくれたら、俺、チュウさんとエッチできると思います」
そう言った瞬間、忠勝のチンコがぴくっと動くのを、俺は鏡越しに見た。
「……ほ、ほんとか?」
「はい、俺も男ですから、嘘はつきませんよ」
忠勝は黙って考え込んでいるようだった。実際、どんなに考えてもでてくる答えは一つなのだ。この犬に俺に逆らう権利など無いのだから。
「………わかった」
そういうと忠勝は体を翻し俺の肩を両手で掴んで
「俺はお前のために皮を伸ばして、包茎になる!だから俺が完全に包茎チンコになったら、俺とセックスしてくれ!」
と真顔で言ってきた。見下ろすと、忠勝のチンコはまたギンギンになっていた。
俺は思わず笑いそうになったが、
「はい、分かりました。約束します」
そう笑うと、忠勝は俺に抱きついてきた。
体温の高い忠勝の体と俺の体が密着する。本当は忠勝は、今すぐにでも俺に襲い掛かりたいのだろう。だがその衝動を必死でこらえているのだ。
なかなか見上げた根性じゃないか。俺は思った。

その後俺は、毎日風呂で皮を引っ張って伸ばすように言い、忠勝を置いて風呂を出た。
服を着ている間、忠勝はゴソゴソと無言で皮を引っ張っているようだった。あの力で毎日引っ張り続ければ、真性包茎になるのに長くはかからないだろう。
またもう一つの暗示。忠勝は俺の『お願い』を聞いて毎日皮を伸ばすたび、俺への忠誠心を育てることになる。
あいつが真性包茎になるころには、あいつの心はすっかり形が変わっているだろう。
より美しく、より純粋に。
俺はすっかり真っ暗になった外へ出る。
忠勝は気付いていないのだ。「付き合ってくれ」という言葉に、俺が全く別の意味で答えたということに。
当たり前だ、俺は忠勝の彼氏に、ましてや彼女になんてなるつもりはない。
確かに俺は、忠勝が真性包茎になったらセックスをしてやるつもりだ。
だがそれは恋人としてじゃない。あいつの飼い主として、だ。
頑張れよ忠勝。
お前が完璧な包茎チンコになったら、そのときが、お前が俺の本当の忠犬になる時だ。
そしてそのとき俺は、お前に恋人以上の愛情と幸福を与えてやろう。

アパートの敷地の外に出ると、奴隷が俺を待っていた。
俺はいつものように後ろに座る。
その時、俺の脳裏に映像が流れ込んできた。
やっと来たか。時計を見る。ちょうどラグビー部は、練習が終わるころだ。
さて、お手並み拝見と行こうか。
俺は奴隷の体に掴まったまま、脳裏に流れ込んできた映像に意識を集中させた。

 眼を瞑ると、瞼の裏に悠一郎の視界が広がる。他の感覚も繋げてみる。
聴覚、嗅覚……問題なさそうだ。触覚をリンクさせると、股間に溜まり続ける微熱を感じた。
再び視覚のみに意識を集中させる。

 映像は、朝、俺と別れた時から始まっていた。
俺のマンションを出て、自宅に着替えを取りに戻ってから大学へと向かう。
魔眼の記憶を記録・保存しておくのはそれなりに集中力が必要なのだが、なんとまあ律儀な事だ。
だが、特に興味はないのでそこら辺は一気に飛ばし、昼過ぎに講義を終えた悠一郎が部室へ向かう所から再生した。

 部室には、二人の見慣れぬ男が立っていた。
誰だ?こいつら。俺は思うと同時に、悠一郎の記憶から情報を引き出す。
…ふん、どうやら幽霊部員予備軍の二人を呼びだしたようだ。
体育会系にしてはめずらしく和気藹々としているあのラグビー部でも、爪弾き者は生まれてしまうか。
名前は…佐藤と鈴木?……普通過ぎて普通じゃねえな。

 佐藤の方は、童顔気味の二年生。
一年の頃から同級生の孝史を一方的に敵視して、色々と騒ぎを起こしていたらしい。
最近部内の力関係だけでなく、ラグビーの面でも水をあけられ、腐って部活に来なくなってしまった。
顔だけじゃなく態度もガキっぽい。身体は中々鍛えられてるんだがな…。
だが、悠一郎の知識は、その身体もただジムで鍛えてあるだけで、ラグビー向けの特訓はされていないとアッサリ斬って捨てている。

 鈴木も同じく二年生。こちらは真面目そうな顔だ。
実力が無い訳じゃないのだが、極度のアガリ症で、練習中ミスを連発しまくっていたらしい。
それでも毎日欠かさず練習に来ていたが、流石に心が折れそうなのか、最近サボりが目立つようになった。
だが、サボっていても的確な自主練をしているのは見るだけで分かるようだ。

 悠一郎の魔種では、俺がやったように部員全員を同時に催眠に堕とす事は出来ない。
何より、そうやって奴隷にしてもつまらない、という俺の意思を汲み、それぞれの個性を活かした奴隷に仕立てあげようという事か。
まず部長が呼び出してもおかしくない連中を堕とし、外堀を埋める事にしたようだ。
二人を見ると他の部員達はそそくさと部室を後にしており、悠一郎の行動を妨害する奴は一人も居ない。
催眠力の弱い悠一郎には、邪魔者を排除出来て好都合という事か。

 俺は他の感覚も悠一郎とリンクさせ、俺=悠一郎となる。

「……悪いが、これ以上部をサボるようなら、もう此処に籍を置かせてやる訳にはいかないな」

『俺』は、二人に向かって厳粛な態度で伝える。

「あー、そーっスか」
「…あ、あの…その…」

 佐藤は精一杯生意気な態度を取ってふてぶてしく見せているが、その目や身体の動きを見れば本心では怯え、焦っているのが良く分かる。
鈴木に至っては、何も隠せていない。

『俺』は鼻で笑うと、更に脅しをかける。

「その場合、他部への推薦状を書くつもりはないから、そのつもりで……ああ、応援會に入るなら推薦は不要だったかな」

 応援會とは……どうやら、通常の応援団の下位組織のようだ。
此処は体育大学と言っても、スポーツ医学や教師を志望する学生も居る。
運動部だけではなく、文系サークルや理系の部活動も活発だ。

 本人の素行に何の問題もないのに、家庭の事情や体調の問題で退部せざるを得なかった学生は、
所属する部の部長やコーチから推薦を受ける事で何のペナルティもなく体育会の部活から文系・理系の部活、或いは応援団へと移れる。
ただ、本人に問題があった場合は、推薦を受けられない。
そうなると、同好会サークルに入るか、無所属で居るしかなくなる。これは就職活動やその他諸々で大きなハンデになるようだ。

 応援會は有象無象の同好会の中でも、最悪の連中があつまるサークルのようだ。
応援団の下位組織と自称しては居るものの、実際に応援団と共同して活動をする事はない。
そもそもこれといった活動はしておらず、規則も形だけは学ラン着用を義務付けられている位で、他の部活からのドロップアウト組が
再起を望む事もなく、卒業までの経歴欲しさに在籍しているだけ、というのが実情だ。
そのいい加減さ故、本来の、こちらは真面目に活動している応援団からは忌み嫌われ。蔑まれているらしい。

 ふうん…この大学には、真面目な応援団と、不真面目な応援団、二つがあるんだな。……料理しがいがありそうだ。

 記録を早送りしてみる。『俺』は同じような調子で、延々二人を圧迫し、不安な気分にさせているようだ。
二人だって、好きこのんでドロップアウトなんてしたくないだろう。どんどん暗く怯えた顔になっていく。
普段の面倒見が良く、真面目な悠一郎しか知らない連中(当然目の前の二人もだ)が今の悠一郎を見たら、本当に同一人物かと疑う位の恐ろしさだ。
やがて、二人の緊張感・恐怖感が最高潮に達したのを感じ、『俺』は二人に告げた。

「…ただし、今から俺が言う事をちゃんとこなせるなら、退部は保留してやっても構わない」

 こくりと頷く二人の眼は濁っている。何時の間にか、魔種の瞳が開いていた。
出力の低さを、話術と雰囲気でカバーして、深い催眠状態へと持ち込んだか。中々やるな。

男を鍛える訓練と称し、二人の下級生に挟まれてサンドイッチ状態で喘ぐ悠一郎を見て、俺は満足して感覚を切り離した。

やがて、バイクが目的の場所へと到着する。
俺は一人で降り、入り口へと向かいながらケータイを開く。
皮を伸して、陰毛を剃り……そしてそれを写メに撮って俺に送る。
今日出来た、忠勝の新しい日課だ。

『頑張るぜ!!』なんて書かれたそれを見て、俺はチン毛だけじゃなく尻毛も剃らせてみようかな?と思った。
忠勝は何時気が付くだろう。抱く側と抱かれる側、そんなの簡単にひっくり返る事に。

高級ペットショップのドアが開き、店員が声を掛けてくる。
俺は明るい声で、

「今度大型犬を飼う事になったんですけど、良い首輪はありますか?」

と聞いた。


ラグビー部編エピローグ


 朝、目が覚めると、隣に忠勝が眠っていた。
声をかけても全く反応しない。ま、無理もない。
忠勝の告白を受けてから、数週間が経ち、一昨日ついに俺は忠勝とセックスする事になった。
望むがままに言葉で責め、開発されきった乳首を弄り、剥けなくなった包茎を嬲り、処女の尻穴を犯し尽くし…
そして尻だけでイケるようになるまで、そのまま飯を食い、風呂に入り、一緒に眠り…数十時間、延々ハメ続けたまま生活を送ったのだ。
そんな無茶苦茶な要求にも、忠勝は追加の催眠は無し、ただ皮伸ばしの時に与えた暗示だけで応えた。
その返事は、剃毛を求めた時よりも、皮伸ばしを求めた時よりも早かった。
マゾ願望があったとはいえ、アナルに興味が無い元ノンケにとって重い決断だったはずだが、
既に俺を喜ばせる事こそが、忠勝の一番の喜びにもなっていたのだ。
まだ奴隷と主人ではない。犬と主人だ。犬は能動的に主人を喜ばせようとするものだからな。
心から幸福そうに眠る忠勝の首には、俺が与えた首輪が光っている。
それは忠勝が俺の忠犬になった証である。暫くはこの関係を楽しむつもりだ。

 夜になってから、ようやく忠勝は目を覚ました。
悠一郎からメールが届いたので、今日は久しぶりに大学に行く事にする。
忠勝に数週間のうちに注文した新しいラグビー部のユニフォームを着せ、上からジャージを被せてやった。
どうも道行く人全てに首輪を見せつけたい気持ちが強いようだったが、我慢させてジャージの下に隠させ、二人で大学へと向かった。

 既に時刻は真夜中に近く、大学には既に洗脳済みの警備員しか居ない。
俺達は堂々と正門からラグビー場へと向かう。
そこには既にラグビー部員が揃っていた。

 ライトに照らされたラグビー場に、逞しい男達が等間隔に並んでいる。
以前とは違い、彼らが身に纏っている服は頭から爪先まで全て同じだ。
そして着ている真新しいユニフォームには、俺の所有物であるというマークが入ってる。
勿論それがそういう意味だと分かるのは、俺の奴隷達だけだ。
頭にはヘッドギアを付け、上半身にはラグシャツを着ている。
下半身には強化プラスチックのスケルトンのセーフティカップだけを付け、直立不動のまま待機する男達。
俺がやって来るのだけを待っているのだ。

 俺がラグビー場に入ると、皆が一斉に俺の方へと向き直る。
悠一郎が一歩前へ進み出て、俺に宣言した。

「ラグビー部全員、昨日堕とし終えました。皆、御主人様に忠誠を誓い、御主人様の喜びのためだけに奉仕します」

俺は頷き、部員達の顔を見渡した。
皆、瞳は淀み、しかし俺への忠誠心を露わにしている。

悠一郎は、真面目で優しい部長から、身体を使って部員を籠絡する淫乱部長へと変貌している。
忠勝は、朗らかで快活な副部長から、真性包茎のマゾ犬になった。
孝史もまた、女たらしが俺に掘られる事だけを望む変態へと変わっている。
そして、変態達は三人だけではない。

「悠一郎の映像、見たぞ。皆、どいつもこいつも変態野郎共だな」

「「「「うす!俺達は、変態ラグビー部です!」」」」

四十人の声が、夜のラグビー場に響き渡る。

「よし!変態野郎共!全員が堕ちた記念に、お前等の変態っぷりを俺に見せてくれよ!」

「「「「おおう!!」」」」

威勢の良い返事と共に、全員がカップを剥ぎ取り、チンポを擦り始めた。
皆既にガチガチに勃起しており、俺の号令があれば即発射出来るようだ。
だが、俺は何も言わない。皆が自身を高め続けるのを見ているだけだ。
限界に達しても、俺の一言が無ければ射精は出来ない。
皆全身を快感と興奮で真っ赤にさせ、汗をダラダラと垂れ流している。
全力疾走した後のように息も絶え絶えになり、しかし手を休める事は一切ない。
俺は完璧に統制された変態軍団にようやく満足感を覚え、射精の許可を出す。
大歓声と共に、ラグビー場に四十人の種子がブチまけられた。

こうして俺はラグビー部を堕としたのであった。

「ハぅ、あっ、うんっ、あっ、御主人、様っ」
 椅子に座る俺に向かい合うように跨って、孝史は屹立した俺のイチモツを尻の穴で銜えこんでいる。
 心も体もまさしく俺のものとして生まれ変わった孝史の尻の穴は、どんな女の名器よりもよく締まり、よく濡れ、優しく、ときに激しく俺のモノを刺激する。
 孝史はその尻の穴から与えられる、今までの人生とは比較にならない快感に顔を歪め、涎を垂らしながらも、しっかりと腰を動かし、俺を気持ちよくすることを忘れない。さすが、見上げた奴隷根性だ。
「どうだ、気持ちいいだろう?」
「はっ、いっ、」
 ガクガクと顔を上下に動かした後、汗に濡れた顔をにっこりとさせてこちらに向ける。
「あ、の、本当に、ありがとうございました」
 孝史が言う。
「うん?」
「ラグビー部、皆…すげぇ、幸せそう、でっ、した…。す、げぇ、エロ、くて…最高、です」
 腰を俺が動かすたび快楽に言葉を切りながらも、誠実な目でこちらを見つめしっかりと話す孝史。
「そうだな、もうお前は部活に出て鍛えなくてもその体は維持できるけど」
 そう言いながら俺は孝史の体を、触れるか触れないかといったところで刺激する。孝史がもどかしげに体を捩る。
「せっかくだから、試合くらいは出続けろ。お前にはユニフォームが良く似合う」
 孝史はその言葉に嬉し涙を流す。
「あ、ありがとうございます! ん、あっっ」
 そして、ケツワレの中にまた精液を放った。何度も何度ももうイっているのに、精液の量も、濃さも、全く衰えることがない。
 実際、俺の眷属として生まれ変わった人間を、あまり人目に晒すことは望ましくなかった。
 おそらく今の孝史は、易々と世界記録を出すような走りや、どんな人間にも不可能なスタミナを
発揮することだろう。もちろん力を抑えるとしても、誰かにバレる可能性は否めない。
 しかし、ことこの孝史に限っては、その不安は無用だと俺は考えた。
 生まれ変わってからの孝史は、生まれ変わる以前よりもますます魅力的な奴隷になった。
 忠誠心、ルックス、体型だけではない。どの最上級の奴隷にも勝る孝史の魅力、それは知能だ。
 孝史であれば、他の人間にそれがバレるようなヘマをすることは、まず無いだろう。

「よし、…イくぞ」
 俺が孝史の少し以前より大きくなった乳首を噛みながら言う。
「アッ、はっ、あ、お、お願いしますッ!」
 顔を上げながら言う孝史のケツマンコの中に、俺の精液をたっぷり注いでやる。
 孝史は深い息を吐きながら、夢見心地にうっとりしている。また、ケツワレの中の孝史のデカチンが震えてザーメンを放っている。
「よし、奇麗にしろ」
 俺が命令すると、孝史はケツマンコからチンコを抜いた。すぐに穴は締まって、俺のザーメンを一滴も垂れ流さずに体内へと吸収する。そしてかがみこんで、俺のチンコを舌で奇麗にし始めた。
「そう、これからあの大学を、全て俺の手中に収めるつもりだ。…お前には、いろいろと手伝ってもらおうと思う。わかるな?」
 孝史は舌を離した。
「はい。ご案内や戦略など、なんでも手伝わせていただきます。何なりと、御命令下さい」
 孝史は俺の目の前に跪く。俺は椅子に座って足を組み、逞しい男がケツワレ一枚で俺にひれ伏す姿を見つめながら、次の策略を練り始める。
「そうだな、少し気になったんだが、応援団――」
 俺が案を孝史に伝える、そのとき、
「御主人様。客人が来ています」
 竜一が室内に入ってきた。
「客? …わかった。孝史、そこに立っていろ」
「はいっ」
 俺が命令すると、孝史はすぐに立ち上がり、壁際に直立不動の姿勢になる。
 客? 誰だ?
 俺は玄関へ向かう。
 玄関には、上山が虚ろな目で立ち尽くしていた。
 ……すっかり忘れてた。

 上山を先ほどの部屋へ連れ込む。おそらく顔くらいは知っているだろうに、上山は部屋に立つ孝史に、何の反応もしなかった。一か月で、俺の暗示はこいつの中にしっかりと芽を吹いたようだ。
「脱げ」
 俺の命令に、上山は従順に従う。
 服を脱いだ上山の肉体は、見違えるほどに変貌していた。もともとの脂肪が筋肉へと変質し、まるでレスラーのような、まさにガチムチ体型へと変化を遂げていた。
 ズボンを脱ぎ、ボクサーパンツ一枚になったその姿。毛も濃く、雄の臭いが漂っている。
 体育大生のような若々しさは確かに無いが、その代わり、成熟した雄の魅力がプンプンと漂う。
 随分いい男になったじゃないか。暗示のせいとは言え、一か月でこれほどの成果が出るとは思わなかった。よし、俺の奴隷にしてやろう。
「見ていろ孝史、今からこの男を俺の奴隷にするぞ。知っているだろう、この男を」
「はい、もちろんです御主人様。…一つだけ、よろしいですか」
「なんだ、孝史?」
 俺は開こうとした魔眼を一旦閉じる。
「その男、上山周一ですが、先ほど御主人様のおっしゃった、応援団の顧問をしています。当然、その下部組織の応援會も。顧問といっても、応援會の方にはほとんど出ず、応援団に関しても、主将にほとんどまかせっきりのようですが…」
 へえ、なるほど? こりゃますます、次は応援団を落とさなきゃならないな。
 そのあと聞いた話によると、どうやら、応援団と応援會の間の溝は、俺の想像以上に深いらしい。
 俺は奴隷へと堕ちた上山のケツマンコを後背位で犯しながら、孝史から情報を聞き出していた。
 応援団と応援會の分裂の歴史を聴きながら俺は思った。
 悲しいかな分かれることになった二つの応援団、いいだろう、俺がこの魔眼を使って、元通り一つの組織に戻してやる。ただし、俺の奴隷の集団、淫乱応援団として、な。
 俺は上山の中にザーメンを注いだ。


目次 1-2-3-4-5-6

Wikiをはじめる

マイページ