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最終更新:2011年12月7日(水) 1時6分

増え続ける無縁仏、引き取り拒否の実態

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 生活保護を受給している身寄りのない人。亡くなった場合、そのお葬式の費用は国が払いますが、昨年度、営まれたそうした葬儀は全国で3万5000件以上にのぼりました。これは10年前の実に2倍です。

 息を引き取った時、家族とのつながりが失われていた人々。そうした人々が増える社会。そこから見えるものとは何なのでしょうか。

 名古屋の中心部にある葬儀会社。67歳の男性の葬儀が営まれています。本来いるはずの家族も知人も、そこにはいません。花を手向けるのは葬儀会社の職員。亡くなった人の遺したものを引き継いでいく、社会にとって大切な儀式、葬儀。それが今、大きく変わり始めているのです。

 葬儀会社には、こんな設備も。
 「(遺体を)冷蔵庫に入れされていただいて(保存する)、身内の方が見つかったり、出棺のときに出します」(シャオン白壁・国塩善彦さん)

 あの葬儀のように、引き取り手のない遺体を保管するための冷蔵庫。以前は葬儀会社に必要なかったこうした設備が今、増えています。

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 「亡くなった方の近況について知らない遺族が多い。(引き取りを)圧倒的に拒否される場合が多い」(名古屋市南区役所総務課・河村隆司課長)

 探しあてた遺族への聞き取り調査の結果。そこには、「引き取り拒否」の文字が並びます。

 亡くなった人の遺したお金で葬儀費用が賄えない場合、公費が支払われます。
 「遺したお金がない場合がかなりあって、昨年度は1体当たり公費で(平均)22万円ぐらい支払っています」(名古屋市市民経済局政課・小粥正健課長)

 「引き取り手のない遺体」。ここには、公費を申請するための書類が集められています。書類には拒否する理由が書かれています。

 「経済的に余裕がありません。宜しくお願いします」
 「30年以上会っていないし、2年前に籍を抜いて、親子関係がないため」
 「死者のことは知らない。無縁仏になっても構わない」

 短い言葉で簡単に断ち切られていく家族との絆。引き取り手のない遺体の数は、ほんの10年前、名古屋市で227体でしたが、去年は実に482体。倍以上に増えているのです。

 この日、葬儀会社の男性が向ったのは、小さな会議室。紙袋の中から取り出されたのは、木の箱に入った遺骨。4つの遺骨を前に、無言で作業が進んでいきます。これは全て、引き取り手のない遺体。月に1度、名古屋市の社会福祉協議会が集め、こうして納骨の手続きをしています。

 「預かった遺骨は、東山霊安殿という所のお墓に納めさせていただきます」(名古屋市社会福祉協議会総務課・大原英孝次長)

 集まった58の遺骨。身元不明者のもの。生活保護受給者のもの。ひと月でこれだけの数になるといいます。

 名古屋市内の霊園の中にある共同墓地。ここで毎月、納骨が行われています。棚に整然と並べられた、引き取り手のない遺骨。その数、およそ4000。納められた遺骨は、この後10年間、安置されます。

 「亡くなった人自身も、いろんな人生だったと思いますけど、少しでも供養して助けることができれば」(名古屋市社会福祉協議会総務課・大原英孝次長)

 人知れず葬られ、増えていく無縁仏。家族、そして社会の絆が、静かに、しかし確実に壊れ始めている証ともいえるのです。(06日20:25)

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