人権救済:「調査」2年超す 東京弁護士会

2011年10月7日 15時0分

 「上司が倫理上問題がある行動をしている」と社内窓口に通報したところ、閑職に配置転換させられたとして提訴した精密機器メーカー「オリンパス」社員、浜田正晴さん(50)が、提訴後の09年3月に行った人権救済申し立てに対し、東京弁護士会が2年半たった今も結論を出していない。専門家からは「裁判とは別の見解があってもいいはずだ」との指摘もあり、制度のあり方が問われそうだ。

 訴訟では配転先で働く義務のないことの確認や慰謝料などを求め、昨年1月に東京地裁が請求を棄却したが、今年8月の東京高裁判決は「配転は業務上の必要性と無関係」と判断し、事実上の報復人事と認めた(同社側は上告)。

 浜田さんは08年2月の提訴から約1年後に同弁護士会に人権救済を申し立てた。人権擁護委員会所属の弁護士からの聞き取りなどがあり、09年7月に調査開始が決定。随時、訴訟資料などを提出してきた。

 調査開始の通知書には「相当な時間がかかることがある」との記載はある。だが、浜田さんは「社内で心身ともに追い詰められ、わらにもすがる思いで申し立てたのに。裁判はもう2審まで終わり、勝訴もした。調査に時間がかかり過ぎるうえ、進行状況すら分からない」と不信感をあらわにし、一刻も早い救済措置を求めた。

 同会は「個別の案件については答えられない」としている。日弁連人権擁護委員会で委員経験のある弁護士は「訴訟中の場合、推移を見ることはあるし、担当弁護士が多忙で手が回らない実情もある。だが、世間一般から見れば2年半は長く、申立人の窮状を改善するという制度の趣旨からみて健全ではない」と話す。

 人権救済申し立ては、人権侵害を日弁連や各弁護士会に届け出る。各会の人権擁護委員会所属弁護士が調査し、人権侵害と判断すれば相手方に警告や勧告などで改善を求める。法的拘束力はない。

 東京弁護士会の昨年の申し立て処理件数は112件。大半は不受理で調査開始は24件、警告・勧告は各2件だった。【和田武士】

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