サイエンス

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古川聡宇宙飛行士:滞在を振り返って チームワークで難局乗り越え 日本の力、実感

 <宇宙と話そう 古川聡・臨時ISS宇宙支局長>

 初めての宇宙滞在でもっとも心に残った出来事は、チームワークで難局を乗り切ったことです。植物の種子を24時間培養して発芽させた後、固定液に浸す実験でした。固定液は人体に有害なため二重に封印されています。一部の試料を固定する際、密閉のためのゴムがうまく働かず、すべては回収できませんでした。

 原因を探ろうと、地上のチームが条件を変えて同じ固定装置を数十本試験しました。出された結論は「わずかに混入した泡が無重力状態でゴムの部分にたまり、装置がうまく働かなかった」というものでした。もう1回実験した際にも同じことが起きましたが、地上チームの適切な指示で泡を移動させ、固定することができました。多くの人の力を合わせたチームワークで大きな仕事ができると実感した瞬間でした。

 宇宙での日々は、忙しい一日の積み重ねでした。宇宙での仕事を通して、地上での我々の生活がより豊かになり、将来誰もが気軽に宇宙へ行ける時代の準備になれば、と思っています。

 日本実験棟「きぼう」はその名の通り日本製です。きれいで広く静かです。そのためか、広報活動の場所としては一番人気で、他国の宇宙飛行士にも愛用してもらっています。ISSのカメラやビデオもほとんどが日本製です。日本人としてうれしく思い、日本の力を実感しました。

 日本の良いところは、チームワークとコツコツ積み重ねる力だと思っています。今は大変な時期だと思いますが、多くの人の力を合わせたチームワークの積み重ねで、日本や日本のみなさんがもっともっと元気になっていくと信じています。

毎日新聞 2011年12月6日 東京朝刊

 

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