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週刊・上杉隆
【第45回】 2008年9月18日
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上杉 隆 [ジャーナリスト]

それでも日本は無関心。グルジア問題の真実はどこにあるか?

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 FSBの正体を全世界に知らしめた元エージェントのアレクサンドル・リトビネンコ氏、彼は常岡氏の友人であるが、その彼も放射性物質ポロニウムによって亡命先のロンドンで命を落とした。

 同じく、カフカスに関わったロシア議会の野党議員たちも次々と殺されている。3人の下院議員は毒殺よりももっと分かりやすい方法で死に至っている。自宅で射殺されたのだ。

 ジャーナリストの死も多い。ロシアではこの8年間で100人近くの記者が、行方不明になったり、不審な死を遂げている。高級紙「ノヴァヤ・ガゼーダ」紙のシチェコチヒン編集長、その後を継いだアンナ・ポリトコフスカヤ記者も殺された。

 ロシアのみならず、イギリスの記者も、フランスの記者も死んでいる。チェチェン・グルジアなどのカフカス地域を取材して生き残っているジャーナリストは数えるほどだ。

 そのうちのひとりに常岡氏がいる。

 いま、グルジアの現地には日本のメディアはひとりもいない。常岡氏のみが取材を続けているだけだ。だからだろうか、世界が注目するグルジアのニュースが日本のテレビに流れることはあまりにない。

 今回のグルジア紛争に関しては、とことん意見の対立するガルージン氏と常岡氏だが、「日本の無関心」という点だけについては完全に意見が一致していた。

 「ロシアは国家機関としては私個人にもそれほど好意的ではなかったし、私の友人たちに対して酷いことをしたが、彼(リトビネンコ氏)や、私がロシアで知り合った多数のロシア人たち故に、私は今もロシアが好きだといい切れる」(『ロシア 語られない戦争』常岡浩介著)。

 番組の最後、ガルージン氏に、常岡氏の本を引いてこう告げた。

 すると、冷静な外交官の表情に赤みがさしたと思ったとたん、こう返した。

 「常岡さんの気持ちが本当であるならば、これからも、そうであることを願う」

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上杉 隆 [ジャーナリスト]

1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局記者、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、フリージャーナリストに。著書に『石原慎太郎「5人の参謀」』 『田中真紀子の恩讐』 『議員秘書という仮面―彼らは何でも知っている』 『田中真紀子の正体』 『小泉の勝利 メディアの敗北』 『官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』 『ジャーナリズム崩壊』 『宰相不在―崩壊する政治とメディアを読み解く』 『世襲議員のからくり』 『民主党政権は日本をどう変えるのか』 『政権交代の内幕』 『記者クラブ崩壊 新聞・テレビとの200日戦争』 『暴走検察』 『なぜツイッターでつぶやくと日本が変わるのか』 『上杉隆の40字で答えなさい~きわめて非教科書的な「政治と社会の教科書」~』 『結果を求めない生き方 上杉流脱力仕事術』 『小鳥と柴犬と小沢イチローと』 『永田町奇譚』(共著) 『ウィキリークス以後の日本 自由報道協会(仮)とメディア革命』 『この国の「問題点」続・上杉隆の40字で答えなさい』 最新刊は、『報道災害【原発編】 事実を伝えないメディアの大罪』(共著)『放課後ゴルフ倶楽部』『だからテレビに嫌われる』(堀江貴文との共著)

 


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