大阪のメーンストリート・御堂筋の歩道で22日、自転車と歩行者のトラブルを減らすため「混雑時の歩道では自転車を押して歩こう」などと呼び掛ける社会実験がスタートした。大阪市と国土交通省が啓発員を出し、来月20日までキャンペーンを続ける。健康志向や経済面から利用者が増える一方、「走る凶器」となる事故も問題化している自転車。ただ、呼び掛けには「自転車は一体どこを走ったらいいのか」と疑問の声も上がっていた。【小林慎】
通勤の人らでにぎわう午前8時。大阪市営地下鉄御堂筋線の淀屋橋駅付近の歩道上で、そろいの黄色いベスト姿の啓発員が「人が多い時は自転車を押して歩くようお願いします」と自転車利用者に呼び掛けた。しかし、自転車から降りる人はほとんどいない。啓発員の前でいったん降りても、すぐに自転車に乗って走り去る人もいた。市の担当者は「毎日続ければ、徐々に効果が出て、マナーを守ってくれる人が増えるのでは」と話した。
キャンペーンの背景には、御堂筋の自転車通行量の増加がある。同省の調査(09年度、午前7時~午後7時)によると、心斎橋エリアでは90年度の1・6倍の5820台に増加。同じ時間帯の歩行者の通行量は2万人を超え、幅約6メートルの歩道は混乱状態となっている。自転車を危険と感じる人も多く、同省のアンケート調査(10年、回答968人)では歩行者の73%が現在の状況を「問題」「やや問題」と答えている。
一方、キャンペーンには自転車利用者から反発の声も。出勤途中の男性会社員(35)は「車道は車が多くて危ない。いつも歩道を走っているので急に言われても……」と困惑した様子。飲食店長の男性(33)も「仕事で急いでいたら、自転車をこいでしまう」と苦笑い。また、帰宅途中の女性(68)は「言われたから降りたけど、足腰が弱くて自転車でないとしんどい。自転車レーンを造るとか、歩行者の通路をはっきり分けた方がいい」と注文を付けた。
キャンペーンは本町や心斎橋、難波の各エリアでも実施予定。平日は早朝と夕方、休日は昼から夕方の混雑する時間帯に、自転車を降りるよう呼び掛ける。
2011年9月22日
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