車優先の社会を見直そうと世界の約2000都市が参加して開かれるイベント「ヨーロッパモビリティウィーク&カーフリーデー」(16~22日)の一環として、さいたま市で17日、中心部への車の乗り入れを禁じる「さいたまカーフリーデー」が始まった。同時に、市内の各所を自転車で巡る「スマイルバイシクルツアー」も開催。自転車の良さを見直す日となった。
イベントは97年にフランスで始まり、00年から欧州連合(EU)の事業として世界的に広まった。日本では04年に横浜市など3市が初参加し、今年は横浜市やさいたま市をはじめ、仙台市、神奈川県逗子市、長野県松本市、福井市、高松市、那覇市の計8市が参加。都市部にマイカーの乗り入れを禁じることで、人中心のにぎわいを取り戻す試みなどがなされる。
さいたま市のカーフリーデーはJR大宮駅西口の道路計210メートルで車の進入を禁止し、オープンカフェなどを設けた。18日まで。「バイシクルツアー」は17日のみで、さいたま新都心などを巡る約10キロのコース。電動アシスト自転車などの試乗会も行われた。
欧州の交通事情に詳しいトヨタ自動車の亘理章IT・ITS企画部主査(63)によると、欧州では自転車レーンの整備が進む。90年代後半以降は、市街地の一定範囲で車の制限速度を時速30キロ以下に抑え、自転車や歩行者の危険を減らす「ゾーン30」を多くの国が採用。車と自転車、歩行者の共存が図られている。
それとともに事故も減少。日本の自転車乗用中の死者(事故後30日以内)は80年の1366人から09年は933人と3割減だが、この間、ドイツは1338人から462人と3分の1になり、フランスは715人から162人と8割近く減らした。亘理さんは「生活道路では自転車や歩行者を優先するルールを明確にすべきだ」と指摘している。
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20日夕刊から4回、「銀輪の死角 欧州の取り組み」を連載します。【馬場直子、北村和巳】
毎日新聞 2011年9月17日 東京夕刊
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