若年無業者はニートと呼ばれる。仕事も通学もしていない若者たちのことを指す。悲哀と苦しみを帯びた響きに胸の痛みを覚える。
総務省の労働力調査(2010年)によると、15歳〜34歳に占めるニートが県内で9千人に上り、割合は2・6%で全国一高かった。
全国平均の2・1%を上回る。若年層の失業率も全国で最も高く、二重に深刻な数値である。
ニートの増加は夢や希望をなくしかけた若者が増えたことを示す。将来を担う若者の活力がなくなっては、豊かな県づくりは望めない。
県はこれまでもジョブカフェ事業などで、ニートから抜け出す道筋を助言するなどの取り組みをしてきたが後手に回っていないか。来年度からの新たな沖縄振興の中で、ニート対策を物心両面で充実してもらいたい。
ニートが1万人に近づきつつある現実を直視し、県は働く意味を中学、高校でしっかり教え、学校でのつまずきがニートなどの不安定雇用につながらないよう、対策を取るべきだ。同時に雇用の場を増やす取り組みを加速してほしい。
県人口は140万人を突破した。人口増は「元気の源」であるが、労働力人口の増加も伴う。それ以上に仕事の場を増やさないと、失業率を押し上げ、平均所得を抑える負の悪循環に陥りかねない。
本来であれば、高校と大学を卒業して10年〜20年前後になるこの世代は、仕事を覚えて職場を支える伸び盛りの時期だ。不登校や高校中退がニートにつながるケースも多い。この世代のニートが増えた背景には沖縄社会の変化もある。
学校を卒業してすぐに職に就き、終身雇用で働くのが理想形のはずだが、経済の低迷が長期化し、雇用の場が増えず、正社員から低賃金の非正規社員への切り替えは県内でも急速に進んだ。
大学卒業者の就職は険しく、氷河期が続いている。勝ち組と負け組が若者の中でも生じつつある。
働く意欲がないとしてとげとげしい目を向ける人がいるが、ニートをそう決めつけてはならない。「人間関係で悩みを抱えた」「競争は嫌」など、ニートになる理由はさまざまだ。
働くこと自体を諦めていない若者は多い。沖縄社会を挙げて彼らに寄り添い、学校や地域も支援の輪に加わり、福祉と医療、教育が三位一体となってニートから抜け出す場を確保したい。
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