2011-12-05

処女厨じゃなかった僕が処女厨になるまで

家庭の事情大学に進めず、高卒田舎を出てすぐに働き続けてきた。

現在年収は300万に届かないワープア身長168cm、顔はフツメン以下でスポーツはできない。車は持っていない。一人暮らし

社会的ステイタスも弱く、正直パッとしない非モテ自分にも恋愛には自前の方法論があって、

片思いの度に「どうせ俺みたいな男はフラれて当然なんだから、OKもらえたらラッキーくらいの気持ちで突っ込め」なんてノリで、高嶺の花相手にも毎回玉砕覚悟告白

もちろん上手くいかないことのほうがはるかに多かったけれど、そんな時はもっといい出会いがあるさと笑い飛ばし、それでも今までに三人の女性と付き合ってきた。

彼女達は処女ではなかった。男性経験の多い子もいる。でもそんなことどうでもよくて、好きならば全く関係無かった。

ネットで俗に言う処女厨と呼ばれる人間達を観る度に鼻で笑い飛ばしているような男だった。

彼女に会うまでは。

まだ二十歳の彼女には僕より三歳年下の彼氏がいたけれど、いつものように玉砕覚悟告白すると、彼女は彼に別れを告げてまで僕と付き合うことを選んでくれた。

奇跡だと思った。僕より三歳年下の前の彼氏は、大学中退してから毎日働きもせずブラブラ遊びまわってはいものの、親は金持ちで車も買い与えてもらい、事あるごとに彼女ドライブデートに連れ回し、いつもお洒落な服を着ており、顔も悪くない。身長は182cmもあり、スポーツ経験もある逞しいマッチョマン。彼は彼女の初めての彼氏であり、箱入り娘状態だった彼女にいろんな事を初体験させてくれたらしい。

それに比べて僕は、20代後半になっても社会人ではあるものの前述のとおりのワープア。車もなければ逞しい身体もない。正直勝てる要素などないと思っていたため、まさか僕を選んでくれるとは思っていなかった。

彼女は「私を守ってくれる、頼り甲斐のある人が好き」と言っていた。正直どうして自分が選ばれたのかわからなかったけれど、そんな彼女の気持ちに答えたかった。そして、前彼よりきっと満足させてみせる、と。

収入に見合っていない高い服を着る。前彼よりいいもの彼女に買い与える。前彼よりもいいお店で食事をする。借金こそしなかったものの、唯一の趣味である毎月五万ずつの貯金が滞ってしまう程度には無理をしていた。

身長はさすがにもう敵わないけれど、せめて彼女の憧れるたくましい男になろうと、忙しい合間を縫って筋トレも始めた。もっと収入を得たいから、出世できるように仕事バリバリこなした。

それを苦だとは全然思っていなかった。彼女に見合った男になろうと懸命であることに喜びを感じていた。しかしその行動力の源泉になっていたのは、前彼への嫉妬劣等感だった。

前彼は彼女から、あらゆる「初めて」を奪っていった。それこそ、彼女が何なら経験させてないんだというくらい色んな事を。自分彼女に何をしても、「前彼の次に経験させてくれた人」である。何をしても彼女の「初めて」は戻ってこない。だったらせめて、「前彼と◯◯をしたときより面白かった」と思わせる努力をする必要があった。

少しずつ自分の中で変化が生じ始めたのは、彼女が事あるごとに前彼の名前を出すようになってからだった。正確には付き合い始めてからも前彼の名前結構なペースで口にしていた。「別れたばかりでまだ忘れることができないんだろう」と思って気にしないでおいたけれど、いつまで経っても彼女は彼の名前を口にすることをやめなかった。

彼女と前彼は別れてからも仲のいい友達のままだ。二人きりで会うなんてことはなかったけれど、頻繁に連絡も取り合っている。

「ここ、◯◯君(前彼の名前)と来たことがある」「これ、◯◯君としたことがある」「これ、◯◯君に買ってもらったことがある」。こんなことを言うのはひっきりなしだったけれど、最初は気にはならなかったものの、それが積み重なっていくうちに次第と、嫉妬劣等感自分の中で膨らんでいくのを感じた。

二人で遠出をするときも、車を持っていないため通行手段は電車だった。「◯◯君とは車でよく海辺ドライブしたり、車を停めて中でイチャイチャしたりしてたんだよ」と言われるたびに、車の有無だけでここまで人は悔しい思いをできるのかと気が滅入ることも多かった。

セックスも、すでに前彼とあらゆるプレイを試したあとだったらしい。びっくりするようなアブノーマルプレイ経験済みだった。何を試しても「◯◯君ともしたことある」と言う。これだけならまだいいけれど、さすがにナニの大きさも前彼のほうがデカかったと言われたときはしんどかった。彼女をイカせることをできなかったときも、「おかしいなあ、◯◯君としたときはいつも何回もイッていたんだけれど……」。そりゃあ前彼が異常に上手かったか、僕がど下手くそなだけか。悔しさに枕を濡らして眠れなかった。

一度、前彼の名前を出さないでほしいとお願いしたことがある。さすがに劣等感を感じるからとは恥ずかしくて言えずに、ヤキモチを焼いてしまからと。「気にしなくていいんだよ、もうただの友達なんだし」と笑顔で言われたら何も言い返せなかった。

彼に未練があるとか、自分比較して前彼のほうがよかったと言いたいか名前を出しているのではなく、ただ無邪気に、仲のいい友達名前を出しているだけだというのが彼女を見ていると伝わってくる。だから彼女にこれ以上やめてくれと責めることはできなかった。

それでも彼女と会う度に自分の中では、前彼への劣等感嫉妬が溢れ、悔しさに胸が痛み、彼女への口に出せない苛立ちが募り、男のプライドはズタズタになっていく。

そんなことが一年近く続き、大好きな彼女と会うことに疲れてしまい、彼の名前に怯えて、努力をすることが苦になり始めた頃、ついに我慢が限界を迎えた。

僕は彼女に別れを告げた。今まで自分がすさまじい劣等感嫉妬に悩まされて、プライドボロボロになっていたことを、初めて口にした。

きっと前彼に未練があるからそういうことを言うんだ。前の彼氏はたしかに素晴らしかっただろう。僕は君に見合っていない男だし、努力や我慢にも疲れた。守ってくれる男が必要なら、僕みたいなステイタスの低い男で妥協しないで、ヨリを戻したほうがずっと君のためになる、と。

彼女はそこで初めて、自分言葉が僕の心を抉り続けたことに気付いて、泣きながら必死に謝ってきた。君は悪気があってやったんじゃないんだから謝る必要はないというと、もう二度と前彼の名前は出さないと土下座までしてきた。

「××君(僕の名前)にもいいところがある。私はそこを好きになった。だから劣等感を感じることなんてないんだよ」と慰めの言葉をくれたけれど、それは無理な話である。男というのは敵を作り、意地を張り、比べたがり、優劣を付けたがる生き物だからだ。なにより前彼と比べて自分のどこが優れているか、肝心の僕自身が今になっても理解出来ない。こんな性格からいつまで経ってもわからないのかもしれないが。

それから彼女は別れたくないと謝罪の電話メールをひっきりなしにくれたものの、僕はそれをすべて受け入れず、結局二人は別れた。話によると、僕と別れたショックで今でも彼女は独り身、前彼とも疎遠になっているらしい。

問題はここからだ。誰かと比較されることがトラウマになった僕はどうなったかというと、処女厨になったのである。少し前まで処女厨を鼻で笑っていた男が、だ。

処女厨議論になると必ずといっていいほど「前の男と比べられるのが嫌な男が処女厨になる」という意見が出てくるけれど、ごもっともだと思った。

比べてもらいたくないだけなら別に処女である必要もないし、今の自分は極端に臆病になっているだけだという自覚もある。非処女嫌悪感を抱いているわけでもない。

だけど、やはり怖いのだ。今ではもうすっかり、比較材料を持たない女性しか、目を向けられなくなった。ダメ男の完成だ。

処女厨になって更にひどくなったのは劣等感である。昔は自分ステイタスの低さも気にせずに、勢いでごまかせるものだと思っていた。

けれど、今となっては自分の身の丈の小ささが恥ずかしくて仕方ない。努力で補うつもりが無いわけではないけれど、あの頃の根拠のない自信を取り戻すには、あまりにも卑屈に歳を重ねすぎてしまった。自分なんかにまた恋愛なんてできるのだろうかと考えるほどに自信を喪失していき、そのうえ処女厨なのだから救いようがない。

処女厨達の理屈を全肯定する気は全く無いけれど、今ではすっかり恋愛障害者一級クラスビビリとなった自分の浅ましい処女信仰に付き合ってくれるような処女が現れるなんて到底思えないのである

結局何が言いたいかというと責任転嫁に映るかもしれないけれど、女性の皆様に伝えたい事がある。

から自信を奪わないでほしい。比較して見劣っているなんていうのはもってのほかで、それが身体的特徴や生まれ育ちなど努力で補えないものなら尚の事である特に「守ってもらいたい」「頼りたい」と思っているのなら、自信を奪うより与えてほしい。あなたのことを自信を持って好きでいたいから、「守りたい」「頼ってもらいたい」と考えることができるのだから

なかなか気付いてはもらえないけれど、単純なもので男のプライドはささいな事で傷つくもの。男がみなそうとは言わないし、僕が繊細過ぎると言われればそれまでだけど。

処女厨からささやかなお願いでした。

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    え、その彼女がデリカシーに欠けた馬鹿だったってだけじゃないの?

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    肉体的な処女にこだわっても意味はないよ 私は大学1年の処女だけど 小学校の高学年から高校を卒業するまでずっと好きだった男子のことを今でも引きずってる すごくすごく好きで 他...

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