25年前、福井市で、女子中学生が殺害された事件で、名古屋高等裁判所金沢支部が服役を終えた男性の再審・裁判のやり直しを認める決定をしたことについて、検察は「弁護団が提出した証拠を過大に評価している」などとして、5日異議を申し立てました。今後、裁判所が検察の主張を認めるかどうか改めて判断することになります。
この事件は、昭和61年に福井市で、中学3年の女子生徒が自宅で殺害されたものです。懲役7年の判決が確定して服役を終えた前川彰司さん(46)について、名古屋高等裁判所金沢支部は先月30日、弁護団が提出した新たな証拠などに基づいて再審・裁判のやり直しを認める決定をしました。これについて、名古屋高等検察庁金沢支部は、最高検察庁などと協議したうえで、5日、名古屋高裁金沢支部に異議を申し立てました。理由として名古屋高等検察庁は「弁護団が提出した証拠には、再審開始に必要な新規性や明白性は認められない。こうした証拠を裁判所は過大に評価している」などと説明しました。検察が異議を申し立てたことで、今後、裁判所が検察の主張を認めるかどうか改めて判断することになります。審理は名古屋高裁の本庁で行われる見通しです。
検察が異議を申し立てたことについて、前川彰司さんの弁護団と前川さんの父親の禮三さんが福井市内で会見を行いました。弁護団の小島峰雄団長は「今回の再審開始決定は、新たに提出された客観的な証拠に基づいたもので、堅実で揺るぎない」としたうえで、「異議申し立ては、無実の前川さんとその家族に、さらに耐え難い苦痛を与える、極めて不当なものだ」と、検察の対応を厳しく批判しました。また、前川さんの父親の禮三さんは「非常に悔しいです。検察を許すことはできない」と怒りをあらわにしていました。