口から食べることができない人に、胃にチューブで栄養を送る「胃ろう」を、回復の見込みがない認知症の終末期の患者にも行うかどうかを話し合う集会が、東京大学で開かれ、本人や家族の意向で行わないという選択肢も尊重すべきという意見が多く出されました。
この集会は、高齢者の医療に携わる医師たちで作る日本老年医学会が開いたもので、医療や介護の関係者およそ1000人が集まりました。集会では、これまで胃ろうを積極的に進めてきた国際医療福祉大学の鈴木裕教授が、「胃ろうは栄養状態をよくし、生存期間を延ばすが、認知症の末期患者など回復が不可能で患者の利益とならない場合は、本人や家族の意向を踏まえ見直しや中止の検討も必要だ」と述べました。また、終末期医療に詳しい東京大学法学政治学研究科の樋口範雄教授は「いかに生き、死ぬかという問題は、法律ではなく倫理と個人の問題だ。胃ろうを行うことが患者のためになるかどうか、医師と患者が話し合いを行うプロセスをまとめた指針を作ることが必要だ」と述べました。日本老年医学会では、4日の集会で寄せられた意見も参考に、今年度中をめどに、患者と医療関係者がどのように胃ろうを行うかどうかを判断する指針を策定することにしています。