TOCって何?

TOCとはTotal Organic Carbon(全有機炭素)の略で、水中に含まれる有機物の量を示します。有機物を構成する炭素の量を測定し、有機物の量に関連付けることで、水質汚濁の監視や上水道、製薬用水の水質を管理する指標として広く採用されています。

有機物って何?

有機物とは炭素原子を含んだ化合物質の総称で、生物を構成している大切な要素のひとつです。水中においては、有機物が栄養分と二酸化炭素に分解されることで食物連鎖が起こります。
赤潮など水質汚濁の問題は、工業の発展や人口の集中により自然界のバランスを超えて有機物が海に流れ込んだ場合に発生するものです。その他、飲み水のにおいの原因や、細菌などを発生される原因となります。

なぜTOC(全有機炭素)をはかるの?

水中の有機物の量を測定する場合、その種類が膨大な数になるので、まとめて測定する方法を考える必要があります。測定するにはTOC以外にBOD(生物的 酸素要求量)やCOD(化学的酸素要求量)という指標があります。この2つは有機物が分解される際には必ず酸素が消費されるという特性を利用し、微生物の 酸素消費量や酸化剤の消費量により有機物の量を関連付けることで測定します。しかし、CODには使用する酸化剤の種類、反応温度や反応時間などによって測 定結果が異なる場合があり、BODには培養に時間がかかることや、操作も煩雑である等の問題があります。
これに対し、TOC(全有機炭素)は有機物の分解により発生した二酸化炭素の量を測り、有機物の量に関連付けるため、測定時間が短縮される、連続測定が可能になる等の特長があります。

TOC(全有機炭素)の測定方法について

TOC(全有機炭素)の測定は、有機物を分解する手法と二酸化炭素の測定方法を組み合わせるため、次の3種類の測定方法があります。

紫外線酸化分解導電率方式

測定方法

特徴

紫外線を照射、有機物を酸化分解し、そのとき発生する二酸化炭素による導電率の変化量よりTOCを測定する。

  • 試薬やパージガスが必要なくランニングコストが安い。
  • 原理上装置をコンパクトな構成にすることができる。
  • 高感度、校正の安定性
  • 導電率に上限あり。

燃焼酸化非分散赤外線吸収方式

測定方法

特徴

白金触媒を使い高温で高純度の空気または酸素で有機物を燃焼させる。燃焼で発生した二酸化炭素濃度をガス分析計で測定し、TOCを測定する。

  • 触媒の交換が必要
  • 試薬やパージガスが必要
  • 比較的低濃度から高濃度まで対応が可能
  • 粒子も酸化可能
  • 測定濃度範囲が広い

湿式酸化非分散赤外線吸収方式

測定方法

特徴

試薬にてICを除去し、紫外線にて有機物を分解。そのときの二酸化炭素をガス分析計で測定し、TOCを測定する。

  • 試薬が必要
  • 測定濃度範囲が広い