2011. 11. 24  
エレーナ・ヴァイツェホフスカヤ記者によるタラソワのインタビュー記事が、「スポーツ・エクスプレス」紙に掲載されていましたので、浅田真央選手に言及した部分を抜粋してご紹介いたします。

http://winter.sport-express.ru/figureskating/reviews/18018/
2011年11月24日「スポーツ・エクスプレス」紙より
「教え直すのは不可能だ」
インタビュアー:エレーナ・ヴァイツェホフスカヤ
(前半略)

-今年、アデリナ・ソトニコワ選手にショートとフリーの振り付けをしましたね。「ボレロ」と「愛の夢」を。その振り付けを始めた頃、浅田真央選手も今シーズン、フリーに同じ曲を使おうとしているのを知ったのですか?

いいえ。今年の夏、ショートプログラムの振り付けのため、浅田選手が私のところにやって来たとき、前回のフリーのプログラムを今シーズンに残しておくかもしれない、と言ったのです。実際、私は、浅田選手のために「愛の夢」の振り付けをしたかった。しかし、彼女は拒否しました。

-どうしてですか?

理由は聞きませんでした。また、考えを変えさせようともしませんでした。もっとも、その後、真央が練習に向かったアメリカで、フリーのプログラムを変えるように、そして、音楽に「愛の夢」を選ぶよう説得されたようです。私が3年前に初めてこの曲を彼女に提案したので、彼女にはこの音楽がありました。幸いなことに、真央が選んだ仕上げは、私が結果的にアデリナのために仕上げたものではありませんでした。

事の本質は、音楽が同じことにあるのではありません。クラシック音楽、これは全世界の財産です。そして、常に、フィギュアスケートの世界ではクラシック音楽が使われています。その上、ソトニコワは、今シーズン、シニアの世界選手権で演技する可能性はありません。彼女にとって“シニアの”シーズンは、12月にはもう終わってしまうのです。大切なのは別なことにあります。つまり、このプログラムに盛り込まれた全てのことをアデリナが成し遂げることです。多くのことがこのプログラムには盛り込まれています。だから、私はいつも、フリーにクラシック音楽を使うよう言ってきました。その代り、私とアデリナは、ショートプログラムで試してみることにしたのです。


-それはどういうことですか?

フィギュアスケートには珍しいリズムになりました。音が一つの動きではなく、いくつかの動きで伝わるのです。音というのは、一度たりとも、完全にきれいなことなどありません。音は、常に、まるで「こわれている」かのようです。このアイディアのため、呼吸、筋肉の極めて正確な動きに合わせて作られた非常に複雑な振り付けが生み出されました。このような振付は、多くのエネルギーを奪います。まちがいなく、アデリナには大変な負担でしょう。しかし、彼女は、この1年だけのスパンを念頭においているのではありません。

―ソトニコワの成長期は、どのくらい続くと思われますか?

今シーズンほどつらくはならないと思います。でも、これから逃れられないのです。成長期をただ乗り越えるしかありません。しかし、この問題は、かつて、ヤグディンとプルシェンコが比較されたように、ソトニコワがトゥクタミシェワと今後常に比較されることとは、異なることです。スポーツ選手にとって、この比較は、更なる重圧になります。彼らのコーチにとってもそうです。しかし、これこそが、フィギュアスケートを進歩させているのです。

―オリンピックシーズン、そしてオリンピック終了後も、全く同じように浅田真央選手と金妍児選手が比較されました。当時を振り返ってみて、浅田選手があなたの指導の下、練習していた時、浅田選手がプログラムをあまりに難しくしようとしたことが、結局、あまり実を結ばなかったと思われませんか?

浅田選手は、ルールの観点から難しい時期に私の下で練習していました。例えば、ルッツの際のインサイドエッジでの踏切が、そのジャンプに対し0点とされました。現在のように、0.2や0.3の減点ではなく。当時、真央は3回転ルッツと3回転ループのコンビネーションジャンプを跳べていたにもかかわらず、試合では、“問題のある”ルッツを2度の3回転アクセルに替えざるを得ませんでした。一つのプログラムに2度の3回転アクセルを跳ぶことに成功した女子選手は、世界に浅田選手以外いませんでした。

もし、真央のお母さんが彼女に強制した不幸な追加トレーニングがなければ、バンクーバーオリンピックでも、彼女は、このプログラムをやり遂げていたのではないでしょうか。トリノの世界選手権で、彼女はうまくいったではないですか?彼女のトリノでのスケーティングは、長い間、世界の記録に残ると思います。でも、ルッツは、現在でもインサイドエッジで踏み切って飛んでいますが。


-教え直すのは不可能ですか?

残念ながら。ジャンプの踏切りは、小さい頃から教わるものなのです。選手は、誰がこのように跳ぶのを教えたのか全く覚えてないくらいでしょう。選手が毎日8年~9年もかけて繰り返してきた過ちを修正するには、非常に長い時間が必要なのです。

(後半略)

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Comment
凄く興奮して読ませていただきました!!
パグ犬もも様、今晩は!
大変興味深く拝見いたしました!!
ここまで、タラソワコーチと真央ちゃんとの内情の記事は初めてみたので鳥肌が立ってしまいました(笑)
『愛の夢』の曲を提案していたのはずっと私はローリーニコルさんだとばかり思っていたのですが、タラソワコーチだったんですね。しかも、振付をやりたいと…
ローリーの愛の夢も好きですが、タラソワさんが真央ちゃんにどんな愛の夢をふりつけるのかも知りたかったな~って思います。
そこで、大変恐縮なんですが、私のブログへの転載をお願いできないでしょうか?多くの方に知ってもらいたいなと…(^_^;)
どうぞ、よろしくお願いいたします。
ありがとうございます!!!!
パグ犬もも様。

本当に本当にありがとうございます!!!
色々複雑な心境もありますが、
詳細が知れてよかったです。

早急な対応にも感激してます!!
本当にありがとうございました!!!

また、こちらのブログを私のブログで
紹介させていただいてもよろしいでしょうか?

パグ犬もも様のブログにたどり着けたのは
コメントを頂いた事もありますので
ぜひ紹介させて頂きたいのですが・・・
No title
パグ犬ももさん。

いつも翻訳お疲れ様です
(*^_^*)

ご無理されているのではないかと心配しております。
健康を取り戻されることを影ながらお祈りしています。

琥珀さん。ロシア語→英語に関しては、Yahoo Babel Fish.  http://babelfish.yahoo.com/
が結構イケますよ。結構自然に訳してくれますよ!(^^)!
aloha0508さま
aloha0508さま

私にとってとても嬉しい生き生きとしたコメントをどうもありがとうございました。稚拙な翻訳にも拘わらず、aloha0508さまのブログに掲載していただけることに大変感謝いたします。
私もタラソワさんだったら、浅田選手にどんな振付をしただろかと、知りたかったなぁと思いました。

これからもどうぞよろしくお願いいたします!

パグ犬もも
琥珀さま
琥珀さま

こちらこそ、この度は、タラソワコーチのインタビューの記事を教えていただきましてありがとうございました。
また、琥珀さまのブログには浅田選手への熱い想いが込められており、読む側にもひしひしと伝わって参りました。稚拙な訳文ですが、琥珀さまのブログに掲載していただけることに感謝しています。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。

パグ犬もも
とおりすがりさま
とおりすがりさま

とおりすがりさま、お気遣いに心から感謝します。
「とおりすがり」というお名前、とても素敵ですね・・・

私も教えていただきました英露翻訳のサイトを参考にしてみたいと思います。

急に冷え込んで参りましたので、とおりすがりさまもどうぞお身体をご自愛くださいませ。

パグ犬もも

管理人宛にくださった方へ
昨日、管理人宛にコメントをくださった方へ

教えていただきましてどうもありがとうございました!

パグ犬もも
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
(ボヤキます)。
あぁ、、タラソワさん、すっかり真央選手のライバル陣営の人になってしまっていますね。

でも、当然のことでしょうし、仕方ない・・・。
それに、これはロシアの記者によるロシア向けのインタビューなのですから、ここに、日本の浅田真央ファンが聞きたいようなことばがあるワケが無いんですよね。。。

今後 一層、心を磨いて、真央選手を応援せねば、です。
五節句さま
五節句さま

ぼやきをどうもありがとうございました。

今回、モスクワ杯が近いこともありこのようなタラソワコーチの発言になっているのかと思いますが、タラソワコーチは真央選手のことを大切な教え子と考えている点については変わらないのでは、と思います。

いずれにせよ、五節句さまにぼやきを言わせてしまう内容で失礼いたしました。



先程管理人宛にくださった方へ
どういたしまして!
これからもどうぞよろしくお願いいたします。

パグ犬もも
No title
初めまして。
タラソワがどうして「愛の夢」をソトニコワに振り付けしたかの真相が知りたかったので、この翻訳に感謝です。

OPシーズンに、愛の夢か鐘がFS候補にあがっていたのですよね?確か。
ローリーの愛の夢を演じる真央選手も極上ですが、タラソワの愛の夢も見てみたかったかな・・・。
シェヘラの振り付け・音源についても、是非知りたいです。
お忙しいかと思いますが、時間がありましたら宜しくお願いいたします。
jajaさま
jajaさま

はじめまして。コメントをどうもありがとうございました!

シェラザードの振付などの情報が、もし記事になり、見落とさなけれ(笑)、ご紹介したいと思います。

こちらこそどうぞよろしくお願いいたします!

パグ犬もも

管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
管理人宛に下さった方へ
コメントどうもありがとうございました!

これからもどうぞよろしくお願いします。

パグ犬もも
こんにちは!
パグ犬もも様、こんにちは!気持ちよく記事の転載を許可していただきまして、有難うございました♪今記事転載終了しましたので、ご報告に参りました!
何回読んでも、いいな~と思ってしまいます。コーチは変われど、ずっと繋がっていてほしいなと思います。
真央ちゃん、SP首位発進です。ソトニコワ選手との愛の夢対決…(ちょっと大げさですね)本当に楽しみで仕方がないです。

パグ犬もも様、興奮しすぎて気づくのが遅い私ですが…体調を崩されていたと…お体の方は大丈夫でしょうか?どうぞ、ご無理をなさらないようお気を付けくださいね。ようやく冬が近づいてきた感じなので、風邪などを引かないよう…お大事にしてください。

aloha0508さま
aloha0508さま

コメントをどうもありがとうございました。aloha0508さまの浅田選手への思いのこもったブログを拝見させていただきました。その中で、私のブログをご紹介いただき、なんだか照れくさい気持ちでいっぱいとなりました。どうもありがとうございました。(フィギュアスケート素人の私のブログをご紹介いただき、大変感謝しております!)

それから、お心遣いのコメントありがとうございます。aloha0508さまもどうぞお風邪などひかれませんように。どうぞお身体をご自愛くださいませ。

今後もどうぞよろしくお願いいたします。

パグ犬もも



先(目標)を見据えてから行動するって大事ですねぇ
ロシアにとってアデリナ選手はソチ金メダル最有力候補。
タラソワコーチの頭には既に
アデリナ選手がソチを迎える頃には
このような選手になっていてほしいという
青写真ができているのでしょう。
だからこそアデリナ選手がソチに向け大きく飛躍するために
15歳にしては難しい課題がつまったプログラムを今から早々と与えているのでしょうね。
とてもタラソワコーチらしいやり方ですね。
タラソワコーチによる真央選手のいくつものプロを思い出します。


今、アデリナ選手は体の成長からくるジャンプの試練真っ只中のようですが。
ジャンプの試練で今年は去年までの彼女のような成績はでていないけれど
タラソワコーチからもらった課題(プログラム)の習得も含め
きっと彼女なら乗り越えると思います。

アデリナ選手はゆくゆくはトータルパッケージのスケーターである真央選手と
堂々と渡り合えるようになるのでは?本格派対決が今から楽しみです。
彼女は真央選手が憧れと公言しているだけあって
試合の時にリンクで曲が始まる前に真央選手がよくする腕の振り
(ジャンプを降る瞬間にする腕の振り)そっくりな仕草をしますネ。
真央選手を真似てかどうかわかりませんが、
真央選手によく似てるなあと思わず微笑んでしまいます。


今季のタラソワのシェヘラザートもローリーの愛の夢も素晴らしいプロですが、
素晴らしいプロを夢見心地で見せてくれたのは何を隠そう真央選手。
佐藤コーチとの地道な二人三脚が功を奏し
真央選手はギネス記録を作ったバンクーバーの頃より格段に大きな選手になりつつありますね。
バンクーバーの結果(試練)は真央選手がゆるぎないオーラと実力を身につけるため、
伝説の選手になるための神様が与えた試練だったとさえ思ってしまいます。
ロシア杯の真央選手、フリーで細かなミスこそありましたが、
去年暗いトンネル真っ只中で非常に辛そうだった真央選手は今はもういません。
もう大丈夫ですよ彼女なら。
それにしても1年棒に振ってでもジャンプの大改造に取り組んだ甲斐がありましたね。
またスケーティングの質とスピード感がさらに増して
それに伴い各要素さらには表現力までも磨きがかかりました。
細かいミスさえクリアすれば圧巻なプロですね。

3Aを飛ぶかどうかと今季毎試合彼女は注目されていますが、
私は真央選手と佐藤コーチの考えあっての決断(過程)を黙って見守ります。
彼らの決断であればマスコミや他がなんと言おうが笑顔でスルー(笑)。
3Aに限らず彼らの出す決断を全面的に信じてますから。
安心して彼らを応援するだけです。

ソチへの青写真といえば、高橋選手も既にパスカーレ・カメレンゴ氏と
ソチオリンピックシーズンの曲について考えているとのこと。
彼らふたりの共同作品は大好き。
元アイスダンス出身者とあって様々な引き出しをもつカメレンゴ氏の振り付けは大好きですが、
稀有なダンサーでありアーティストである高橋選手とカメレンゴ氏のタグを今から楽しみにしています。
マロンさま
マロンさま

コメントありがとうございました。「先を見据えてから行動する」ってフィギュアに限らず大切なことですよね。ブログの翻訳記事以上に読み応えのあるコメントをありがとうございます。

「試合の時にリンクで曲が始まる前に真央選手がよくする腕の振り (ジャンプを降る瞬間にする腕の振り)そっくりな仕草をしますネ。 真央選手を真似てかどうかわかりませんが、 真央選手によく似てるなあと思わず微笑んでしまいます 」面白いことにお気づきになられましたね!今度、ちょっと気にしてみてみます!

コメントどうもありがとうございました!
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プロフィール

パグ犬もも

Author:パグ犬もも
ご無沙汰してます。パグ犬ももです。少し体調を崩してしまい、更新ができずにいました。大変申し訳ございませんでした。ヴァイツェホフスカヤさんの「氷上の涙」、前に進んでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いします!

「氷上の涙」著者ヴァイツェホフスカヤ女史のご紹介
氷上の涙 1958年3月1日生。リボフ(現在のウクライナ)生。ソ連のスポーツ選手。1976年のモントリオールオリンピックで、女子10メートル高飛込で金メダル。1976年ソ連スポーツ功労賞。ソ連国立中央体育大学を卒業。優秀スポーツジャーナリストに選出。2005年、初のニコライ・オゼロフ賞(スポーツ・体育競技の振興に貢献した人々に贈られる)を受賞。なお、父セルゲイ・ヴァイツェホフスキーは、元水泳選手。
「氷上の涙」のご紹介(裏表紙より)
オリンピックの金メダルは、得てして、人の一生を台無しにしてしまう。選手であろうと、コーチであろうと、メダルを取る前も、取った後の人生も。選手らは、金メダルを目指して、超人的な努力と大きな目標を求められる。一方、第二の人生が始まると、二番手に甘んじることに、耐えられない。選手たちは、いかなる犠牲を払って勝利をつかむのか?なぜ、一番強い人が、必ずしも一番になれないのか?プロに転向後、フィギュア選手のキャリアはどのように形成されていくのか?「スポルト・エクスプレス」紙の評論員エレーナ・ヴァイツェホフスカヤが、最も美しいスポーツ競技フィギュアスケートの裏側を明らかにする。
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