ソブリン債務に世界中があえぐなか、日本の財務副大臣は21日、2011年度末の日本政府の借金が新たな節目に達する可能性があることを明らかにした。公的債務残高が初めて1000兆円を突破する見通しとなったのだ。
五十嵐文彦財務副大臣は、自身の試算によると、2012年3月末時点の政府債務残高は、前年の924兆3600億円から、1056兆円程度にまで増える可能性があると述べた。ただし、副大臣は、これはあくまで個人的な試算であり、公式な政府予想ではないことを強調した。
ジャパン・リアル・タイムが調査した範囲では、先進国で政府債務が「1000兆」の単位に達している国は他にない(ジンバブエでは2008年に債務残高が79京ジンバブエドルに達し、その後通貨を切り下げている)。米国やギリシャやイタリア、スペインなどの苦境に陥る欧州諸国の債務残高は数兆または数十億の単位だ。
もちろん単純な比較はできない。現在のように円が強い状態であっても、1円は1ドルや1ユーロ、その他主要通貨の1単位当たりの価値と比較して相当少ない(本稿執筆時点では、1ドル=76.80円、1ユーロ=103.82円)。
それでも、主要7カ国(G7)の一角を占める国の公的債務が、国のバランスシート上でゼロを15個も要する水準にまで達していることは注目に値する。さらに、別の点においても日本の借金は突出している。日本の政府債務残高は対国内総生産(GDP)比で約200%と、ギリシャの約160%、イタリアの約120%をはるかに超えている。
それにもかかわらず、日本はそれら欧州諸国を悩ませている混乱を依然免れているようだ。どんなに額が大きくなろうとも、日本政府にカネを貸し続けてくれる極めて安定した忍耐強い国内投資家のおかげだ。
だが、その状況も変わる可能性がある。五十嵐財務副大臣も、現在のところ日本国債の95%は国内資金で賄われており、海外投資家が保有しているのはわずか5%にすぎないため低金利で国債が発行できているが、この状況が永遠に続くと考えるべきではない、と指摘している。