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'11/12/5

日本酒、若者や女性に照準




 中国地方の酒造会社が、若者や女性向けの新たな日本酒の開発に力を入れている。発泡性や果実を取り入れるほか、にごり酒を牛乳と組み合わせて飲む提案も。低価格や低アルコール志向が高まる中で清酒の需要は低迷。特徴を出してファンの開拓を目指す。

 八幡川酒造(広島市佐伯区)は発泡性の「果汁入りスパークリング清酒」の開発を進める。清酒に炭酸を加えてイチゴやレモンの味付けを検討中。20〜40歳代を狙い来年3月の販売を目指す。

 秋には大学生の女性に試作品を飲んでもらい、包装、瓶のデザインなどで助言を得た。畠崇製造部長は「日本酒造りは手間暇がかかり極端な低価格化は難しい。女子会に持参してもらえる製品にしたい」と意気込む。

 旭鳳酒造(安佐北区)は新たな飲み方の提案に力を入れる。梅やレモンなどアルコール度の低い日本酒ベースの自社製リキュールをアピール。店頭販売やイベントでは日本酒の炭酸割り、にごり酒に牛乳を入れてまろやかにする方法なども勧める。

 浜村郁子常務は「伝統を大切にする業界では邪道との声もあるけれど、入り口も重要。若い人にきっかけを与えたい」と語る。

 広島国税局によると、中国5県の清酒の消費量は減少に歯止めがかからず、2010年度は3万8千キロリットルと1975年度のピーク時の7割減。低価格、低アルコールの酒類が支持を得る中、酒造各社は消費拡大に知恵を絞っている。

 三千鶴酒造(倉敷市)は11月、通常より精米部分を減らしてアミノ酸を豊富に含んだ日本酒を開発した。清酒に地場産トウガラシを漬け「辛いんデス」と名付けた商品もインターネット販売で売れている。同社は「価格競争では大量生産の大手が有利。誰も造っていない酒で固定客をつかむ」と意欲を燃やす。

【写真説明】旭鳳酒造が造る日本酒ベースのリキュール。新たな飲み方を提案する




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