日本航空(JAL)の機長が、小学生らに環境教育を行う出張講座「そらいく」で、上空で撮影した写真を使って、操縦席から目撃した地球の現状と環境の大切さを子どもたちに伝えている。
2007年6月に、当時JALの社内で「まずやろうJAL」という取り組みの中で、予算ゼロのボランティア活動として小学生らへの環境教育講座が始まり、同年9月から「そらいく」として現在のような形になった。これまでに108回の講座が開かれ、国内外の小学生ら約1万7000人が受講した。スケジュールの入っていない7~8人の機長が分担して講座を受け持っている。
20回以上の講座を受け持った加藤義己機長(42)は「フライトの時はお客様と直接話す機会はないので、子どもたちに興味を持って聞いてもらえるか緊張します」と話す。子どもたちからは「このままいくと地球はどうなってしまうのですか」という声が多く寄せられ、今年は生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)にあわせたテーマも加えた。
写真は運航状況や気象条件の良い時で十分に安全性を確保したうえで撮影。「飛行中は安全で快適に飛ぶことが第一なので、撮りたいシーンがあっても撮れないことも。操縦席のガラスが厚く望遠レンズではゆがみが出てしまったり、反射が強くうまく撮影できないこともあります」とフライト中ならではの苦労もある。
加藤さんが大空へ飛び出した90年代初め、先輩機長から「昔よりも空が青くない」と聞かされた。加藤さん自身も「シベリアの森林火災の観測をしようにも地上が見えないことが多く、アジアのような大きな積乱雲もかつてはなかったシベリアで見られるようになりました。地球全体に変化が起きているように感じます」と上空での異変を体感している。【米田堅持】
2010年6月25日
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